9月1日配信回
2025.09.01

9月1日(月)配信 整形外科ぐんまの森クリニック 院長 濱野哲敬

略歴

地元の小中高時代は野球部に所属し、高校卒業後、2年間の浪人を経て2005年に群馬大学医学部医学科に入学。2011年に医学部を卒業後は整形外科医師として大学病院を中心に勤務しつつ、2019年に群馬大学大学院を卒業して学位を取得。2024年に整形外科ぐんま
の森クリニックを開業し院長となる傍ら、アマチュアゴルファーとして全国レベルの大会で活躍中。

笠井:濱野先生は骨や関節などの治療を行う整形外科の先生なのですね。

濱野:そうです。

笠井:どちらに病院があるのですか?

濱野:群馬県の高崎市です。

笠井:病院の診療だけではなく、スポーツドクターとしても活躍されているとお聞きしました。

濱野:もともと私がスポーツをしてたということもあり、スポーツ選手を支えたいという思いから、整形外科を選びました。日常診療しながら、スポーツドクターとしても活動しています。

笠井:スポーツドクターは、何をするのでしょうか?

濱野:私がしているのは、高校野球、少年野球のサポートです。具体的には、試合の裏方にいて、選手の怪我や観客の体調不良に対応したり、シーズンオフに選手の体の状態を確認したりしています。さらにボクシングのリングサイドで、少年ボクシングや高校総体などのリングドクターを行っております。

笠井:そうですか。さて、これまでの経歴なのですが、子どもの頃は野球をやっていたのですか?

濱野:小中高と野球をやっていました。

笠井:そして高校卒業後、2年間浪人して群馬大学医学部医学科に入学されています。卒業後は整形外科医師として大学病院を中心に勤務しつつ、昨年整形外科ぐんまの森クリニックを開業して院長になられています。

2年間浪人してまで医学部に入るというのはどういう想いだったのでしょうか?

濱野:きっかけの一つとしては、野球をしていた際、怪我で辞めていく同級生が多く、「無念だな」と思っていました。当時は、自分ができることはなく、現状をもどかしく思っていました。「何かの形で貢献したいな」という思いから、医学部を目指しました。

笠井:医学部に入ると、診療科は自分で選べると思うのですが、やはり整形外科となったのでしょうか?

濱野:そうですね。迷いはありませんでした。

笠井:仕事へのこだわりはどのようなところにありますか?

濱野:スポーツの診療はもちろん行いますが、社会の中でやるべき仕事というのは、いわゆる日常診療、地域医療ですね。ご高齢の方やつき指をした少年少女など、いろいろな方がいらっしゃいますが、みなさんが早く社会復帰できるということを目指し、サポートしています。

笠井:高齢化が進んでいるため、高齢者の皆さんの健康維持やリハビリは、とても大事ですよね。

濱野:そうですね。

笠井:一方で、スポーツドクターとしての専門はありますか?

濱野:特に肩を専門にして、今まで診療してきました。

笠井:肩を痛めて、治療にとりくむ選手たちに対しては、どのようなアドバイスをしているのですか?

濱野:早く復帰したいという気持ちはもちろんあるでしょうし、こちらも早く復帰させてあげたいです。ただ、現実的にできないこともあります。ただ、そういったこともバランスを取りながら、できる限り早く復帰できるようサポートをしています。

笠井:つまり「休養しなさい」というスタイルではないのでしょうか?

濱野:そうですね。

笠井:それはどうしてですか?

濱野:完全に「何もかもやっちゃダメ」という時期は、実はどの怪我も長くはないと考えています。「こういう動きはできるけど、こういう動きは控えておいてね」となるべく細分化して教えてあげることで、フィールドに早く戻してあげられると思っています。

笠井:とにかく怪我をしたら、「とにかく休め」と思いますが、出来ることもあるわけですね。

濱野:そうですね。まず、怪我の全体像を教え「この時期はこれができないよ」、「この時期はここまでにしておいて」と伝えると割とそれ以外のことでできることを見つけて、選手も復帰していくので、フル復帰できる時期は早くなる可能性があると思っています。

笠井:最近では、どういった患者さんが増えていますか?

濱野:バレーやサッカーなど子ども達の怪我も多いですが、シニアでスポーツを頑張っている人たちも増えています。

笠井:最近は高齢者もスポーツする方が多いですよね。どういうお悩みが多いのですか?

濱野:やはり肩、肘が痛いというのは、最も多い悩みになります。ただ高齢者になりますと、それ以外にも、首、腰、膝、股関節、あらゆる部分の痛みも同時に抱えていることもありますし、必ずしもスポーツで負った怪我ではなく、いわゆる経年劣化的な痛みであるというのもあります。

笠井:年齢を重ねると、いろいろなところが痛みますけど、スポーツを生き甲斐にしている方もいらっしゃいますよね。そうなると、どういう指導になっていくのでしょうか?

濱野:スポーツをやりたい方は、感覚的には昔と同じ体で動けると思っている方が多いです。しかし、例えば肩が痛い方の場合、肩の関節の機能は若い時よりは落ちています。このことはお伝えしますし、ご本人も自覚されていると思います。

機能が落ちた部分をサポートするために「肩甲骨を動かす訓練をしましょう」などと伝えています。肩が痛いから肩だけを治すという発想ではなく、その肩のポテンシャルを最も引き出す指導を同時にするようにしています。

笠井:そうですか。さて、後半は3つのキーワードで、仕事との向き合い方を皆さんにお伺いしております。第1のキーワードは、モチベーションです。濱野先生の仕事の原動力はどこにあるのでしょうか?

濱野:原動力は、体の痛い方たちが、最後までやりたいことをできるようにしてあげたいという気持ちですね。老若男女、様々な患者さんがいますが、その方が困っていることを解決してあげるということにフォーカスして診療しています。

笠井:面白いと思ったのは、体を痛めた人を治してあげたいだけではなく、スポーツ健診にも力が入っているのですか?

濱野:はい。スポーツ健診は群馬大学で行っていた取り組みで、そこで自分自身も学んだこともとても多かったです。今も活動に参加していますし、その知識をフルに生かして、診療に当たっています。

笠井:スポーツ健診の良いところはどのようなところですか?

濱野:怪我をしていない選手の怪我を予防することができるということです。どこかが痛い上で行う診察と、どこも痛くない人を診察するのは全く違います。私はどこも痛くないフルで動く体のデータが頭に入っていますので、「ちょっと股関節の動き悪い」、「足首の動き悪い」など、その人も気づいていない部分に気づけると思っています。

笠井:素晴らしいですね。続いて、第2のキーワードは信念です。濱野先生はどのようなことを大切にしているのでしょうか。

濱野:基本的には「スポーツを愛する全ての人を応援しています」というのが、クリニックのモットーです。もちろんそれだけではないのですが、クリニックの特徴としては「スポーツを愛する全ての人を応援する」、「老若男女問わず、最後まで好きなことができる」ということを後押ししています。

笠井:スポーツを愛する全ての人のために行っているからこそ、若い人からお年寄りも含めて、スポーツ関連の方がいらっしゃっているのですね。最後、第3のキーワードは、未来へのビジョンです。今後の展望を教えてください。

濱野:スポーツドクターとしての診療に重きは置いてますが、そういった知識は、いわゆるスポーツをしない方にも、そのまま活かすことができます。そのため、今までやってきた知識を、どのように日常診療に生かしていくかが、今の自分の課題です。

笠井:そうですか。これからも地域のために、そしてスポーツ選手のために、頑張ってください。

濱野:ありがとうございました。