10月20日(月)配信 サンパーク胃腸内科クリニック 院長 山城惟欣
1999年筑波大学医学専門学群卒業後、沖縄協同病院にて初期研修修了したのち救急ICUに従事しつつ消化器医療を学ぶ。2007年より浦添総合病院にて消化器専門に転向し、大浜第一病院、香川県回生病院にて研鑽を積み、同仁病院では内科部長兼内視鏡センター長を歴任する。一方で2008年より、かじまやークリニックでは在宅医療にも携わり理事を務める。2021年9月にサンパーク胃腸内科を開院し、現在に至る。
眞鍋:サンパーク胃腸内科クリニックは、どこにありますか?
山城:沖縄県浦添市にあります。
眞鍋:今日は沖縄からいらっしゃったのですね。
山城:そうですね。昨日沖縄から東京に来ました。
眞鍋:遠くからありがとうございます。サンパーク胃腸内科クリニックですが、2021年に開院されたのですね。
山城:そうですね。2021年の9月1日に開院いたしまして、5年目を何とか迎えることができました。
眞鍋:開業されたきっかけを教えてください。
山城:1999年に大学を卒業した後、勤務医として23年ほど働きました。最初の頃は救急ですね。8年目から消化器内科に移動し、内視鏡を握り続けてきました。その中で、やはり自分の目指す理想の内視鏡検査をやりたいと強く思い、開業という道を選びました。
眞鍋:勤務医から自分で病院を開院するのは、やはり勇気がいるものですよね。
山城:そうですね。23年間は勤務医として働き、内科部長や内視鏡センター長といった役職もいただいていました。その状態で、ゼロから経営者になることは、親戚や友人など多くの方から反対されました。
眞鍋:それを押し切って開業したのは、使命感のような情熱があったのですか?
山城:内視鏡、胃カメラ、大腸カメラにより早期発見につながる可能性があります。やはり自分がずっと求めてきた「誰にでも安心して受けていただける」という、自分の家族や友人に勧められる内視鏡検査の施設をつくるには、自分自身で開業してつくりあげるしかないと決意しました。

眞鍋:内視鏡を受けた人と受けていない人では、全然違いますか?
山城:そうですね。現在、国内では胃がん及び大腸がんによって、毎年多くの方が亡くなられています。特に大腸がんは増加傾向にあるのです。ただ、何も症状がないうちに、40代・50代のうちに、一度胃カメラや大腸カメラを受けておくことによって、早期発見に繋がる可能性があります。私は、胃がんや大腸がんの早期発見を行い治療に繋げることが、内視鏡検査の大きな役割だと思っています。
眞鍋:実際に医療の現場で関わってこられた中で、内視鏡検査に専念しようと思ったきっかけはありますか?
山城:当初沖縄県で救急をやる中で、沖縄はがん検診の受診率が低いこともあり、若くして胃がんや大腸がんの末期で駆け込んでくる方が非常に多かったです。さらに、沖縄県内においては内視鏡医が非常に少ないという現状があります。救急は、沖縄は若手のやる気のあるドクターもたくさん入っているため、私は内視鏡の分野で社会に貢献していきたいと考えました。
眞鍋:そうだったのですね。病院の特徴はありますか?
山城:できる限り苦痛の少ない内視鏡検査を目指しています。勤務時代から、「苦痛のない内視鏡検査」を目指してやってきましたが、やはり内視鏡は、苦しい・きついというイメージがありますよね。
眞鍋:私は去年初めて大腸の内視鏡検査を受けましたが、やはり不安でしたね。
山城:不安も大きいですし、検査に対するちょっとした羞恥心もあると思います。多くの施設で「苦痛が少ない内視鏡」に取り組まれています。内視鏡検査は、それだけきついということです。そのため、どうやったら検査前に不安を取り除き、楽に満足して検査を受けて帰っていただけるかを追い求めています。
眞鍋:クリニックの中の雰囲気やスタッフさんの対応がいいと、安心しますよね。
山城:おっしゃる通りですね。内視鏡検査自体は、胃カメラは3、4分、大腸カメラも早ければ4、5分です。ポリープ切除を行っても、10分から15分ほどで終わります。そのため、私が患者さんと接している時間は、短いのです。当院は鎮静剤を使って眠った状態で検査しますので、検査が終わってクリニックを出るまでは大抵3、4時間かかります。そのため、多くの時間は僕ではなく、受付の事務員や看護師と接しているのです。病院の扉を開けて入った瞬間から、会計が終わって出ていくまでが診療だと考え、スタッフ全員で安心していただける空間づくりを心がけています。
眞鍋:そうですか。実際に内視鏡検査で命を救うことができる可能性があると考えると、検査の必要性を、多くの方に認識してもらいたいですよね。
山城:一生懸命発信している方々も多いのですが、なかなか届かないのが現状です。特に、30代から50代の若い働き世代の方は、時間をつくるのも大変ですし、元気なのにきつい検査をする必要があるかわからない方も多いと思います。ただ、多くの方に一度検査を受けていただきたいです。

眞鍋:一度の検査で、自分の状態を知ることができるのですね。私は去年の年末に受診したのですが、次はいつごろ受けたらいいでしょうか?
山城:前回は特に異常はなかったですか?
眞鍋:なかったです。とても綺麗でした。
山城:ご家族やご親戚で大腸ポリープや大腸がんの方はいらっしゃいますか?
眞鍋:いないです。
山城:それであれば、次は5年から10年後に受診していただければと思います。
眞鍋:かなり間を開けてもいいのですね。
山城:大腸がんは、遺伝的要因が強いといわれています。もちろん脂っぽい食べ物やお酒、タバコなどの影響でがんになることもありますが、私は遺伝的な要素が大きいと考えています。
眞鍋:そうなのですね。
山城:1親等や関係が近い方で大腸がんの方がいる場合、まずは1回検査を受けて欲しいです。ポリープの種類にもよりますが、ポリープがあれば「2、3年おきや4、5年おきに検査を受けましょう」とドクターから指示があると思います。
眞鍋:なるほど。
山城:検査に異常がなく、ご家族やご親戚に大腸の病気の方がいない場合は、5年から10年とゆっくり考えていただいてもいいと思っています。大腸がんの多くの場合は、アデノーマが発生して、1年かけて1ミリから2ミリと大きくなり、1センチを超えるあたりから発がんのリスクが出てきますので、ポリープが発生してから、10年から15年ほど経っているケースが多いと言われています。
眞鍋:そうなのですね。
山城:約2センチまでは、一般的に内視鏡検査内で切除が可能とされることが多いです。今問題がないということは、もう10年以内ぐらいに再度受けていただければいいと思っております。
眞鍋:その安心がもらえるのであれば、やはり1回受けておくことが重要なのですね。
沖縄の受診率も上がっていくといいですね。
山城:それを目指して頑張っていきたいと思います。

