3月3日(月)配信 株式会社イースター 代表取締役 平岡基成

1966年生まれ。信州大学工学部建築工学科卒業。卒業後東急建設株式会社に入社、施工管理・本社内勤を10年間経験。プロゴルファーを目指し、長太郎カントリークラブに勤務2年間。その後、千葉の建設会社に入社し20年間、その間、専務取締役を14年、代表取締役を3年務める。2021年に独立、株式会社イースターを設立。現在に至る。
笠井 :お仕事の内容を教えてください。
平岡 :重量鉄骨造の建物を中心とした建築物の施工になります。また、他に新築工事だけではなくて、改修工事、リフォームにある漏水の調査及び、その漏水の修繕工事というのをやっています。
笠井 :重量鉄骨ということは、ビルの鉄骨を組んでいらっしゃるということなんですか?
平岡 :ビルが鉄骨であればそうですし、主に大スパンの建築物の倉庫や工場、あと事務所なんかも鉄骨で作る場合があります。構造が鉄骨であればいろいろなバリエーションがありますよね。
笠井 :そうですか。建築の仕事をされている会社ですが、平岡さんのプロフィールを拝見しますと、ちょっとユニークなんですよね。信州大学の工学部、建築工学科を卒業した後、東急建設に入社と、今のお仕事に通じる経歴なのですが、入社から10年後に東急建設をお辞めになっている。大手の建築会社を辞めた理由は何ですか?
平岡 :ゴルフが好きで、プロゴルファーになりたいという思いがずっとあり、年齢的にも30歳を過ぎた頃だったので、ここでやらないともうできないかなと思い、そのタイミングでプロゴルファーを目指しました。
笠井 :お姿と語り口はとても静かな方なんですが、胸の内は熱いですね。
ただ、ほんと申し訳ないんですけれども、今プロゴルファーではなくて、建築の方に戻られました。これはどういうことですか?
平岡 :その当時プロのゴルファーになるっていうのは、経験年数が必要だったんですね。5年以上ゴルフ場に勤めてなきゃいけない。そこまで私も時間かけてやれなかったし、プロゴルファーになれるとしたら、1年でも2年でも短期でぐっと伸びると思ったので、2年と期限を決めてやりました。
笠井 :2年間でプロになれなかったら、ここは諦めようと。
平岡 :そうですね。ただ、プロテストを受けるところまでもいけなかったんですよ。
あと5年やってくださいって言われて、私の腹の中では「なんだそれは」と思いましたが、そこですぱっと諦めました。
笠井 :そうですか。そして2年後、千葉の建設会社に入社し、その会社の社長になったわけですね。
平岡 :私が代表取締役になった時の会長にかわいがっていただいて、私もそれなりに努力したので、一番上にまで行けたかなと思っています。

笠井 :そして2021年に独立されて、株式会社イースターをつくられたわけですが、これは千葉の建設会社の社長をお辞めになったからですか?
平岡 :そうです。お世話になった会長さんから、お前クビだよという話になって、自分で始めるにはちょっと資金もなく迷いましたが、もう人に使われての勤めは無理かなと思い、独立の道を選びました。
笠井 :株式会社イースターは、どんな会社にしようと思ってつくられたんですか?
平岡 :みんなはよく簡単にできないとか言うんですけど、私は不可能なことはないと考えています。何事も自分の知識の中でのアイデアとか、やり方を考えればできると思ってるんですね。だから、できないことはないと諦めず努力を続け、それが色んなお客様の信頼を得ていくことに繋がっていけばいいなと思い、仕事をしています。
笠井 :株式会社イースターの、企業理念を教えてください。
平岡 :お客様のニーズを的確に捉えた建物作りを基本にしていますが、図面通りではなく、使い方までを考慮した施工と提案ということを、建築のプロとしてご提案するということですね。
笠井 :図面通りではないっていうのが、衝撃的な発言なんですけど。
平岡 :図面には使い方をある程度想定した形で、照明器具やコンセントなどの配置や数を記入しています。ただ、実際に運用しだしたら、コンセントが足りないなどのトラブルがあるんですね。
笠井 :そういう建物や会議室、多いですよね。
平岡 :それは使い方をあらかじめ、考慮してないからなんです。例えばこういう机の配置、住宅でいうと家具の配置、そういう配置を先に決めてから、コンセントの位置を決めないと、家具の後ろにコンセントが隠れてしまう場合もありますよね。
笠井 :そうですね。
平岡 :お客様は、やっぱりそこに不満が生じるわけです。事務所を作る場合でも、机の配置っていうのを決めて、椅子の配置などを決めておかないと、コンセントや照明の位置は、はっきりとは決まらないんですね。逆にある程度現場が進んでいく中で、図面ではわかってるけど、実際どういう風に家具を配置するかを決めてくださいっていうことをお客様に伝えています。
笠井 :つまり、設計時の段階では見えてなかった部分が、平岡さんが手掛けてる間に見えてくることがあると。
平岡 :そうですね。こういう使い方をするんじゃないかっていう、私のイメージを想像させて、お客様に伝えています。私が想像した使い方になるかどうかはお客様じゃないとわからないので、どのように使いたいかを聞き、お客様の要望をもとに、コンセントや照明の配置を決めていきます。ただ、住宅とかだと、子供が小さい時、子供が大きくなった時、大人だけになった時で家具の配置などが変わりますよね。一度建物を立ててしまうと直さないことが多いので、将来のことも考えて提案を
しています。

笠井 :大手ではやりにくいような、小回りが利くってことなんですね。
お客さんの声を聞くことは基本ではありますけど、設計図通りに作るっていうのも、建設会社の基本でもある気がするので、そのバランスをうまく取ってらっしゃるんだなと思いました。
これからのビジョンや目標は何かありますか?
平岡 :やっぱり自分のできることでいうと、私が今まで経験してきたことや、考え、知識を次の世代にバトンタッチするための時間を取りたいと思っています。これからの10年で建築を目指してくる人たちに、私の考えを吸収してもらえればいいかなと考えています。
笠井 :それってやっぱりお客さんにどう向き合って、話を聞くかってことも含めて、とても大切なことですよね。
平岡 :建築っていうのは、技術屋がほとんどですから、お客様と向き合うということは難しいですね。
笠井 :コミュニケーションとなってくると難しいということですか?
平岡 :お客様とのコミュニケーションっていうのは営業的なことになってくるんですよ。どちらかというと、営業の人の方がお客様が求めていることを理解しやすいんですけど、建築の技術がないので、説得力に欠けるわけです。そういう意味では、技術を先行してて、その中で営業的なセンスを持ってると、お客様の要望にしっかりと応えられる形になるんですね。だから、そういう人を育てていきたいですね。
笠井 :新しい時代の建設マンですね。
