10月28日(月)配信 笠井信輔
皆さんこんにちは。フリーアナウンサーの笠井信輔です。今回は特別編ということで、これまでの放送を振り返りつつ、私自身の仕事についてお話しさせていただこうと思っております。この頃、TOKYO MXで「おはリナ!」という朝の情報番組が始まり、私が初回の生ゲストとして呼ばれました。朝の生放送は久しぶりだったのですが、来週も来てくださいと言われ、嬉しかったです。朝5時20分にタクシーが迎えに来るので、「朝が早くて大変ですね」と言われることがありましたが、なんということはございません。実は私、「とくダネ!」時代は午前3時にタクシーが迎えにくる生活を20年間続けていました。夜に寝るのは11時から12時。翌日のことを考えると、その日の内に夜のニュースを見るべきだと考えていたのです。平均睡眠時間は3時間から4時間ほど。そのような生活を20年も続けたのですから、体に悪いですよね。後にがんを患った際には、「あなたの生き方、働き方は間違っていました」という宣告を受けたように感じました。
「おはリナ!」で嬉しいことは、私が出演する月曜日に週末のスポーツの結果を取り上げることです。毎回、サッカーJ1の町田ゼルビアのニュースを流すのですが、実は私のふるさとは町田。そして、町田ゼルビアのサポーターなのです。スポーツコーナーではサポーターであることを隠さずにゼルビアのことだけを話し、偏向報道の様相を呈していました。しかし、今シーズンは初めて2連敗してしまったのです。加えて、その2回は私が担当した日。非常に悔しかったですね。好き勝手に喋っていて良かったのだろうかと思いつつ、「また次も出演してください」と言われると、フリーアナウンサーになって良かったと感じます。自分が仕事をした結果、反応があって嬉しいというのは、ゲストの皆さんからもよく聞くお話です。
振り返ると、高校生の時はテレビに出たくてたまらず、さまざまな体験をしてきました。高校の卒業アルバムには「忘れそうになったら俺を見てくれ、テレビに出ている」と書き、皆に笑われたこともありました。しかし、今になって同窓会を行うと、「笠井、本当にアナウンサーになったな」と言われるのです。やはり夢を諦めてはいけないなと思いますね。アナウンサーを目指していた頃は、日本テレビやテレビ朝日の選考に落ちてしまい、やっとのことで入社したのがフジテレビ。一方で、採用の裏話もあります。もともと、フジテレビ志望の選考1位と2位の学生は性格が似ており、真面目タイプだったそうです。そこで、思い切って違うキャラクターの人間を採用する方針になり、私が選ばれ、最終的に1位と3位の学生を採用したと後に聞いたのです。運が良かったというのもありますが、もし夢を諦めていたら、高倍率のアナウンサー試験自体受けていなかったでしょう。この番組に出演されてきた経営者の方々も、やはり皆さん夢を持っていて、独立している人が多いと感じます。
本番組、今までさまざまな業界で活躍されている44人のゲストにお越しいただきました。印象に残っているのはまず、株式会社グランドバリューの代表取締役、古橋慶樹さんのお話です。主に外国の方の人材派遣を中心とした事業を展開している同社。外国人労働者の市場にビジネスチャンスがあるからと思いきや、古橋社長には別の信念がありました。当時、古橋社長が独立して何をしたいか迷っていたところ、モンゴルやウズベキスタン出身の方との出会いがありました。話を聞く内に「彼らと仕事をしたい。お役に立ちたい」という想いが芽生え、人材派遣を始めたのです。実は、人材派遣でマッチングを行うのであれば、現代ではAIで実現できるそうです。しかし、効率性よりも感謝や義、そして信頼といったものを大切にしているのが株式会社グランドバリュー。外国人の方が同社を通じて働いた経験が口コミで伝わっていき、仕事が広がっているのです。一方で、会社を畳もうとしたことが何度もあったそうです。従業員に会社のお金を持っていかれた経験があったというのです。それでも、古橋社長は人を信じたいという想いを持ち続けていました。人を信じて信じて、信じ抜く。そして、失敗話はいつか笑い話になるのだと語ってくれました。成功するまでやり切ると、失敗は笑い話になるのだと。そして、社長が失敗すると、従業員も失敗を恐れなくなり、挑戦に積極的な会社になるのだそうです。色々なパワーと教えがあり、なるほどと思いました。
次に、株式会社聖工務店の長谷川聖仁社長。37歳の若さで、現在は土地取引のほか、住宅の建設から引き渡しまで全てを行っています。驚くべきことに、長谷川社長は21歳で会社を立ち上げているのです。実家が建設業を営んでいるわけでもありません。シングルマザーのもとで育ち、貧しい生活を経験。独り立ちをしてお金を稼ぐという意欲、そしてお母様への想いがあり、工務店を始めたのです。一人で会社を設立していますから、従業員はなし。草むしり、足場づくり、解体から左官業までこなすうちに、徐々に従業員が集まりはじめました。しかし、会社経営のノウハウを知らず、借金も多い中で従業員が辞めていき、再び一人に。その経験から自分が変わらなければと一念発起すると、従業員が再び集まってくれたのです。そして、従業員と従業員の家族から褒められる会社にすることが信念に。貧しい家庭環境で育ったからこそ、従業員の家族の幸せを願う。会社経営には色々なところに意味があるのだと感じました。
さて、そろそろお別れの時間となりました。今回はこれまでを振り返りましたが、44人のゲストの皆さんにお会いして、他にもお話ししたい方がたくさんいらっしゃいました。全て取り上げることができず、ごめんなさい。会社を立ち上げ仕事をするには、大いなる決断力が必要だと毎回感じております。ゲストの皆さんに今後の目標を尋ねると、「お客様の喜ぶ顔が見たい」という声のほか、「従業員やその家族の幸せのために」というお言葉も多く耳にします。また、地方創生という言葉の通り、地域を盛り上げることが多くの人への貢献になると考えている方もいらっしゃる。会社を続けていく原動力や、各々の想いについてこの番組を通して学ばせていただいております。リスナーの皆さんにも、さまざまな分野で活躍する方々のお話から、何か新しいものを得ていただければと願っています。これからも、よろしくお願いいたします。