9月9日(月)配信 医療法人みかさ美容クリニック 理事長 古賀孝臣
1995年に九州大学医学部附属病院で医師としてのキャリアを開始。その後、1996年に広島赤十字・原爆病院、2001年に国立がんセンターなどで勤務し、同年に九州大学大学院医学系研究科を修了。愛知県がんセンターや福岡東医療センター、福岡記念病院などで経験を積み、2017年以降は湘南美容クリニックや和白クリニックで美容医療に従事。2018年に「みかさみらいクリニック」を開設し、2020年に「医療法人みかさ美容クリニック」を設立。
笠井:九州大学医学部を卒業されて、九州大学医学部付属病院で外科の研修医として勤められた後、広島赤十字原爆病院、国立がんセンター、愛知県がんセンターなど、ほんとに様々な病院を経験して、2017年に突然湘南美容クリニックに転職。元々は癌の研究をされていて、突然美容医療の世界に入ったのはどうしてですか?
古賀:教授選に落ちたりとかもありまして。思い切って転身をしました。脱サラもしたかったので、52歳ぐらいで独立しました。
笠井:様々な経験をされてますが、教授選に落ちてしまったと。
古賀:現実を突きつけられましたね。
笠井:でもそれも一つ自分が前に進む、大きな原動力だったんですか?
古賀:そうです。方向転換の背中を押してくれました。
笠井:僕はよく、引き算の円と足し算の円って言ってるんですよ。マイナスの先にはプラスがあるから諦めない方がいいっていう。まさにそれですね。
古賀:マイナスをいかにプラスにするかですね。
笠井:美容診療というのは、良い話もある一方で、マイナスのイメージも出てきますよね。どんな風に捉えてましたか?
古賀:ちょっと話がずれるかもしれませんが、美容は健康な人を対象にしてるんですよね。表現が正しくないかもしれませんが、病院とは違って、患者さんじゃないんですよね。だから、その難しさは最初から感じていました。できるだけ失敗しないようにと、最初から心がけてましたね。
笠井:患者さんではなくて、お客さんとして対応していくという。世界がガラッと変わっているわけですよね。今、個人で開業されてますが、みかさ美容クリニックはどこに居を構えましたか?
古賀:福岡市東区の香椎照葉というアイランドシティがあるんですけど、いわゆる都会の博多とか天神からは離れたところに作りました。
笠井:なぜそこを選ばれたのでしょうか?
古賀:一つは競争ですね。競争が激しいレッドオーシャンのところに加わって競争するのではなくて、あえてちょっと田舎に作ったわけです。
笠井:お客さんの動向はどうでした?
古賀:どちらかと言えば年齢の高い方に車でお越しいただくような形ですね。若い人は電車で博多駅に行ったりするので。客層、年齢層が違います。
笠井:みかさ美容クリニックではどういった美容医療、診療をされてるんでしょうか?
古賀:美容皮膚科と美容外科をしております。一番お客さんが多いのはシミ取りレーザー、ホクロ除去、ハイフとかダーマペンとか、そういったのを美容皮膚ではやってます。美容外科手術も、今現状たくさんはしてないんですけど、脂肪吸引や埋没法で二重ですとか、そういった背術を行なっています。
笠井:ホームページを拝見したんですけれども、お客さんの紹介で来る方がとても多いクリニックなんですって?
古賀:2割か3割ぐらいは、お客さんの紹介です。
笠井:良い点があるから口コミが広がるわけですよね。
古賀:美容外科、美容クリニックといえば敷居が高いイメージがあると思うんです。それをできるだけ下げる、敷居を低くして、できるだけたくさんの方にお越しいただけるように配慮と気配りはしております。
笠井:お客さんの男女比率はどうですか?
古賀:現在は8:2で女性:男性ですね。男性もかなり来ていただいております。
笠井:そこはやっぱり今の時代の流れですかね?
古賀:男性も美意識が高くなってきているのもあると思います。男性も通いやすいクリニックを目指しています。
笠井:男性が通いやすいような工夫というのは?
古賀:SNSで男性も遠慮なくどうぞみたいな形で、どんどん発信していくというのもありますし、口コミも多分あります。
笠井:さて、後半は3つのキーワードでいつもお話を伺ってるんですけれど、第一のキーワードはモチベーション。先生の仕事のモチベーションはどこにあるのでしょうか。
古賀:どれだけ満足していただけるか。自分の施術で少しでもレベルを上げていくと、そういうのもモチベーションになってますね。あとはやっぱり満足してお帰りいただくのが嬉しいというのもあります。
笠井:お客さんの満足度っていうのは。どういったところで見るんですか?
古賀:やっぱり帰られる時の表情とか、交わされる言葉でわかりますね。
笠井:第二のキーワードは信念。古賀先生の仕事の信念は?
古賀:まずお客様にご満足いただいて、その対価としてうちの職員、私が幸せになる、そういった循環は大切にしてます。
笠井:職員の方のインタビューを拝見したら、お客さんとして来ていた方が、今は職員として働いていらっしゃると。
古賀:半分ぐらいそうなんですよ。今の職員の半分はお客さんが職員になった形です。
笠井:お客さんに働きたいと言わしめる理由はなんだと思いますか?
古賀:一つは私と話がしやすいのがあると思います。
笠井:多分コミュニケーション能力も高い。あと明るくて、この人の元なら働いていたいって思わせるものを持ってるんじゃありませんかね。美容医療となると、お客さんとのコミュニケーションも結構重要ですよね。だけど先生は多分喋ることよりも、聞いて掴む力が強いんじゃありませんか?
古賀:聞くことは意識してます。よく話を聞いて、悩みを拾い上げて、どうしたら一番いいかという、そういう流れは大事にしてます。あんまり余計なことは言わずに、まず聞くということですね。
笠井:そして第三のキーワード、未来へのビジョン。今後やりたいこと、挑戦したいことはありますか?
古賀:美容に関して言えば、ものすごく高みを目指すのではなくて、今の延長線でいいかなと思いますね。
笠井:現実的ですね。
古賀:例えば、売り上げを増やそうとかやっちゃうと歪んでくるんですね。ノルマを課さないといけないとか、それはしたくないんです。他に私の興味としては、AIの研究開発をやってます。去年から始めたんですよ。私の代わりをAIにさせようと。
笠井:クリニックの中での、いわゆるAI導入?
古賀:それをまず目指してたんですけど、今は半導体に興味が出てきてしまったんですよ。AIの進歩のために半導体の集積度アップとかを、メーカーが一生懸命やってるんで、それを今勉強し始めたんです。
笠井:美容外科をやりながら、半導体事業にも手を伸ばすかもしれないってことですか?
古賀:そうなんですよ。メーカーが今やってる改良ではなくて、動作メカニズムそのものを新たに考えないと、これ以上の進歩はないなと。だから、今は理工系の大学生が大学で勉強するようなことを自分でやってるんです。
笠井:病理をやっていたという基礎がありますね。根本的なところの問題を突き詰めていくという。
古賀:一応研究者気分で。
笠井:研究者なんですよ。研究者として、自分の殻に閉じこもっていないところが多分古賀先生の変わってるところで魅力的なところだと思いますよ。
古賀:ありがとうございます。
笠井:10年ぐらいのスパンの中で、半導体ビジネスの人としてゲストに迎えられたら嬉しいです。