5月6日(火)配信 税理士法人CONFIANCE 代表 森岡克巳

1959年生まれ。岡山県立笠岡商業高等学校卒業。国家公務員採用試験(税務)に合格し、新卒で広島国税局に入局。呉税務署をはじめ、定年までに18の地域の税務署に勤務。2020年7月に定年退職後、株式会社CONFIANCEを設立し、代表取締役に就任。同年8月、税理士登録。同年9月、行政書士登録。2022年3月、税理士法人CONFIANCE設立。
笠井:主にどういったお仕事をされていますか?
森岡:確定申告、税務関係書類の作成がメインです。また、それらに基づく記帳代行のほか、納税についてどのようにしていくかという相談や、一般的な相談も受けています。
笠井:そうですか。森岡さんの肩書きを拝見しますと、岡山県の商業高校を卒業後、新卒で広島国税局に採用されました。そして定年までの42年間、税務署のお仕事を続けた、税務のエキスパートでいらっしゃいます。定年退職後、起業されたわけですが、何をしたくて起業されたのでしょうか?
森岡: 税務署での長年の仕事は、納税が困難な方への対応、いわゆる滞納処分がメインでした。さまざまな方の状況を見ているなかで、ほんの少し工夫すれば、滞納という事態を避けられたのではないかと感じるケースが多くありました。そうした経験から、自分の知識を活かして、資金に困っている方々を助けたいという想いが募り、会社を設立して、コンサルをやってみたいと思ったのです。
笠井:いわゆる税務処理だけではなく、経営指導の職域ですよね。子どものころからの夢だったそうですね。
森岡: はい。私は田舎の農家に生まれ育ちました。子どものころから、農家が出荷する作物は安いのに、消費者の購入価格はなぜこんなに高いのだろうと疑問を抱いていました。流通経路を考えると、もっと工夫の余地があるのではないかと考えており、今で言う地産地消のような形が、当時の私にとっての理想でした。ただ、当時は知識も学歴もありませんでしたし、具体的な進路も見えなかったので、ひとまず自分ができる仕事を選びました。
笠井: 子どものころに抱いていた夢が、今実現しているわけですが、いわゆるコンサル業ではなく、税理士法人として立ち上げたのは何か理由があるのですか?
森岡: コンサル業務を進めると、どうしても税務関係は税理士、補助金申請などは行政書士といったように、税務に関する手続きの代行が必要になる場面が発生します。幸いなことに登録さえすれば、私は税理士と行政書士の両方の資格を保有できる状態でしたので。
笠井: 確かに、税理士登録・行政所士登録されていますね。
森岡:そうするとお客様は無駄なお金を使わずに済みます。
笠井:なるほど、要するに、コンフィアンスに頼めば、一気にそういった作業を一つにまとめられる。オールインワンでできてしまうということですね。これは便利ですね。
森岡:私自身も動きやすいですしね。

笠井: 仕事へのこだわりはどのような点でしょうか?
森岡:お客様の想いをいかにして知るかということです。お客様の想いを聞いたうえで、確実に対応できる体制を整えるようにしています。そして「コンフィアンス」という社名は「信頼」という意味があります。お客様から信頼していただけるよう適切な指導を行いたいと思っています。
笠井: そうですか。開業されてから、お客様の数が増えているとのことですが、どのようなきっかけで広がったのでしょうか?
森岡:お客様の口コミですね。お客様からの紹介で、どんどん増えていったような形です。
笠井: 口コミで広がるというのは、実際にコンフィアンスのサービスを受けられた方が、周りの方に勧めてくださっている証拠ですよね。
森岡: お客様からは「値段の割には適切に、親身になって話を聞いてもらえる」といった声をいただいています。
笠井: お値段もリーズナブルであり、懇切丁寧に指導してくださるということですね。やはりその部分は、40年以上税務署で働いていた経験が活かされているのではないでしょうか?
森岡: そうですね。税務署の内部の仕組みや、どのような視点で税務行政が行われているのかを熟知しているので、それに対応できる指導ができることは強みですよね。
笠井: 私も個人事務所を経営していて、過去に税務調査を受けた際、とても苦労しました。対応方法について顧問税理士さんと検討した思い出があります。税務署の内部のことを知っているというのは、いろいろな面で武器になりますよね。
森岡:そうですね。税務調査はどのようにして対象が選ばれるのか、調査官はどのような点に着目するのか、といったことを把握しています。ですからそうした情報を踏まえて、日ごろから帳簿をしっかりと作成していれば、税務調査を受けるリスクを低減することができますね。
笠井:実際にお仕事をされていて、楽しい瞬間はどんなときですか?
森岡: やはり、お客様から「ありがとうございます」といった感謝の言葉をいただいたときですね。また、新規に事業を立ち上げるお客様を中心にサポートしているので、会社が順調に成長していく様子を見ると、指導して良かったなと思います。

笠井:一から会社を起業する方に寄り添うお仕事ということですか?
森岡: そうですね。これから会社を設立する方には、設立の手続きから設立後の処理までをサポートしています。法人の設立手続き自体は司法書士の分野ですが、私が信頼できる司法書士をご紹介することで、スムーズな連携を図っています。
笠井: 昔に比べて会社設立は簡単になりましたよね。とはいえ、いろいろな手続きが必要であり、専門家のサポートが不可欠ということですよね。
森岡:税務関係だけでも、国・県・市にそれぞれ設立届を出さないといけません。法人になると当然従業員・役員がいますから、社会保険の手続きが必要です。労働基準監督署やハローワークの雇用保険などの手続きも必要になってきます。必要な手続きや準備をきちんと把握していないとできませんからね。
笠井:私もフリーになって個人事務所を設立してから、税務面ではずいぶんいろいろと工夫ができるようになったなと思いました。なので、そういったお仕事をしている方が、漫然と働いているのではなく、法人化して自分の仕事を会社にしようというのは、生き方の大きな転換としては一ついいですよね。
森岡:個人事業主を続けるのは、どうしても限界があると思います。また社会的信用を考えると、法人にしていた方が、将来的には仕事も増え、安定していく可能性が高いと思います。
笠井:税金滞納者に対する督促業務を長く行っていたということですが、そういった相談もありますか?
森岡:申告書を作った際に「税金を払えそうになく、どうしたらいいか」という相談はありますね。その場合は期限内までに猶予手続きをすれば、最終的には延滞税や利息の軽減が可能です。そういった処理を早めにした方がいいとお伝えします。正式に依頼を受ければ、私共の方で作成します。
笠井:長く税務署で働かれていたことが、本当に大きな武器になっていますね。
森岡:税法だけではなくて、民法などあらゆる法律を知っていないと対応できないことが多かったので、それが今活きているんですかね。
笠井:最後に、これからのビジョンや目標を教えていただけますか。
森岡:やはり経営で悩んでいる方の手助けができるように、税理士だけではなく、弁護士など関連士業と密に連携を取ってお客様を支援していきたいです。その積み重ねをしていけば、いずれは滞納するほど資金に苦労する方を減らせるのではないかと思いますね。
