6月17日配信回
2024.06.17

6月17日(月)配信 アイティアスリート株式会社 代表取締役 中村学

略歴

1981年生まれ。ゲームやパソコン好きの中・高校時代を過ごすが、高校時代から始めたバンド活動にのめり込みそのまま上京。IT 系のアルバイトをしながら音楽活動を続けるが25歳でプロを断念。それまでのネットワークエンジニアとしての経験を活かし、通信キャリアや自動車メーカーのネットワーク設計構築を経験。2014年に入社したマイクロネットワークテクノロジーズではICTインフラ部門の部長を務める。2018年に独立・起業して現職に至る。

笠井:アイティアスリート株式会社はどんなお仕事をされてるんですか?

中村:法人の通信ネットワークの設定構築をやっております。オフィスの中や工場の中のいわゆる機械と機械の間のネットワーク設定をしてあげたりですとか、あとは通信事業者様の中の通信ネットワーク設計とかをやっている会社です。

笠井:ITの仕事をする前は、随分長くミュージシャンをされてたんですね。ミュージシャンからITの世界に入ったのは何かきっかけがあるんですか?

中村:中学生の時に近くの大学のサマースクールでインターネットとは何か?を教えていて、そこに参加してからインターネットオタクになりまして。音楽をしながらお金を稼ぐために、インターネット管理の仕事をずっとやっていたのがきっかけです。

笠井:転職もかなり経験されてるようですが、長続きしないのか、戦略なのか?

中村:どんどんスキルアップというか。元々インターネットの仕事に携わっていきたいと思ったんですけども、現実はパソコンを目の前に、電話を受けるような仕事から始めまして。やっぱりそれだと物足りないので転職をして、今度はインターネットの機械を設定する仕事になって、それも物足りなくなってしまったので、また転職をして。

笠井:自分のステージを上げていくために働く場所を変えていくという、かなり前向きな転職ですね。2014年に入社したIT会社で責任ある立場について、仕事も順調だったそうですが、そこを辞めて自分の会社を作られたと。順調なのに辞めたのは何か訳がありそうですね。

中村:当時7人のスタートアップの会社だったんですけども、あれよあれよという間に一年で100人の会社になりまして。私が思っていた以上に会社が大きくなり、いろいろなお客様がいるなかで、エンジニアがやりたい仕事ができない環境になってしまい、エンジニアが幸せになれる会社ではないよね、と社長と話した上で、私がやりたいことができなくなってしまうので退社しました。

笠井:エンジニアがやりたい仕事というのは?

中村:やっぱり一番大きいのは、自分がこれを作ったと声を大にして言える仕事。自分たちの名前が出ないまま仕事が終わっていくこともあると思うんですけども、そうじゃなくて、「うちの会社はこれを作りました」って言えるようなものを作っていくことをやりたい。

笠井:その実現のために、どれくらいの規模の会社を作ったんですか?

中村:最初は4人とか。

笠井:なんかスティーブ・ジョブズのガレージみたいな話ですね。

中村:それこそ神田のレンタルオフィスの狭い12平米のオフィスを借りて、ちょっと動けば後ろに肩が当たるみたいなところでして。

笠井:立ってすれ違うのが精一杯みたいな。小さくても自分の理想を掲げられる場を作るって大事ですか?

中村:そうですね。やっぱり自分のやりたいことをやっていくんだって気持ちが一番大事だと思っています。

笠井:私なんか大企業に30年勤めてたから、終身雇用って考え方に根付いてるんですよ。だから、転職を繰り返して4人の会社を作るって無茶だなと思うんだけど、でも実はそれこそが理想に向かう一つのビジネスの在り方なんでしょうね。

中村:私もどれが正解なのかと。

笠井:でも今、幸せそうじゃないですか。

中村:私はやりたいように生きることしかできないので。

笠井:やりたいように生きるためには、自分でちゃんと小山の大将になんなきゃいけない。僕らは大きな山に一合目から上がって登り詰める、それに60年かかっていいんだっていう考え方だけど、もう今違うんだなと。テレビのコマーシャルも転職サイトのCMが一番多いんじゃないかっていうぐらい多いですよね。

中村:そうですね。どんどん技術が変遷して新しいものが出来てくるので、新しいものをやるためには新しいところに行かなければいけないって、業界的にも多いかもしれないですね。

笠井:今はどれくらいの規模の会社になりましたか?

中村:今26名、そろそろ30名っていうところです。

笠井:仕事はトップダウン形式ですか?

中村:全くそうではないですね。エンジニアの幸せは、自分のやりたいことをやれるってことなので。

笠井:命令されてやるもんじゃないと。

中村:自分のやりたいことやれるのが一番大きいなと思っていて。ボトムアップでやりたいことを拾い上げて、それを消化していけるように。そういうことができればいいなと考えてますね。

笠井:会社の中での風通しを良くしたいと思う背景には、大きな会社で苦しい思いをした経験があると思うんですけども、何か工夫していることはありますか?

中村:月に一回良いもの食べよう会という、社員が食べたいものを会社全員で食べに行くっていうことやってまして。会社負担で。

笠井:なかなか飲み会とか食事会って今の若い人は行きたがらないけど、会社が全部持ってくれるなら話は別ですよね。どんなとこに行くんですか?

中村:高い焼肉屋さんに行きたいみたいなことから始まって。どんちゃん騒ぎのいつの時代なんだっていう飲み会をして。で、その時に新しい社員から何をしたいですみたいな話を聞いたり、悩んでることを聞いたりして。

笠井:結局、飲みニケーションは古いとか言いますけれど、やり方なんでしょうね。だって、みんな楽しそうに食事するわけでしょ。この会社に入ってよかったなって思う瞬間ですよね。

中村:楽しいのが一番じゃないですか。それを作るために何をすればいいかなってことをずっと考えていて。会社が回るためには大事なことだと思います。

笠井:続いて、中村さんの社長としての未来のビジョンを教えてください。

中村:私、福岡出身でして、地方創生って度々話題になった時期があると思うんですけども、最終的にはうちの地元でも同じようにエンジニアが幸せになれるような会社を作って、地元にもっと花を咲かせられるといいなっていう思いがありますね。

笠井:今のお話ぶりと勢いだと、それも遠い未来ではない気がします。