3月31日配信回
2025.03.31

3月31日(月)配信 アズ・ワールドコムジャパン株式会社 代表取締役社長 奥山奈那

略歴

989年生まれ。共立女子大学卒業。株式会社リクルートに入社し、ホットペッパービューティーの法人営業を経験。その後、大手PR会社へ転職。以降PR業界で活動し、2024年4月からアズ・ワールドコムジャパン株式会社へ入社。同年10月より代表取締役社長に就任。

笠井:アズ・ワールドコムジャパン株式会社ではどのようなお仕事をされてますか?

奥山:総合PR会社として、広報実務の伴奏型支援を行っている会社です。

笠井:伴奏型支援というのはどういうことですか?

奥山:企業さんには広報部署があると思いますが、その方々が普段している業務をまるっとすべて代行しています。ただそれだけではなく、PRの目的に合わせた目標設定から戦略の立案までやる、PRコンサルティングもしています。

笠井:経歴を拝見しますと、大学卒業後リクルートに就職され、ホットペッパービューティーの仕事をしていたのですね。

奥山:ホットペッパービューティーでサロンさんの広告の枠を営業する仕事をしていました。

笠井:その後、大手PR会社に転職されたということですが、去年、アズ・ワールドコムジャパンに入社して、半年後に社長に就任されたそうですね。

ご自身のなかに「社長になる」という目標があっての転職だったのでしょうか?

奥山:ゆくゆくは独立したいという気持ちは正直ありましたが、まさかこのタイミングでとは思っていませんでした。

笠井:それはそうですよ。起業とは違って、人の会社で社長になる、しかも中途入社でというのは、なかなかない話だと思います。社長業はどうですか?楽しいですか?大変ですか?

奥山:大変ではあるのだろうと思っているのですが、もっと大変でも大丈夫ぐらいの余力はあります。

笠井:仕事へのこだわりはどんなところでしょうか?

奥山:「楽しい」「好き」「気になる」を、常に見出すことはこだわりとして持っていますね。PR業は多種多様な業界の企業さんがクライアントになります。狭く深くというより、広く浅く、さまざまな知識を持っていないといけなかったり、何にでも興味を持たないといけなかったりする部分があるので、そういうこだわりがとても重要になってくるのかなと思っています。

笠井:3つのワードが出てきました。「楽しい」や「好き」はこの番組でもよく出てくるのですが、PRをやるうえで「気になる」というのはやはり重要なのですか?

奥山:重要ですね。例えば、お堅い商材で生活者には関係ないものに見えたとして、私たちもその業界のことを知らないと、どうPRしてあげればいいか迷うことがあります。そういうときに「でも、なぜこの商材が生まれたんだろう」だったり、BtoBのサービスだったとして「その企業様のお客様先となる方たちから喜ばれているのはどうしてだろう」といった、「気になる」の意識を持ち続けることが大事だと思います。自分が興味のないことだと、PRするのが難しくなってしまいますからね。

笠井:若くして社長さんになられていますが、ターニングポイントはどんなところにあったのでしょうか?

奥山:現在の会社が3社目なのですが、転職がそれぞれターニングポイントだったように思います。どの会社でも2年目、3年目になると、大体の仕事を覚えて回せるようになりますよね。ただ「私って何者なんだろう」と、ふと思うことが結構あって。自分がここからどうなっていくのか考えるタイミングがきたときに、結果的に転職しています。

笠井:転職はご自身にとっていいものでしたか?困難でしたか?

奥山:その環境が嫌だから転職するというのはあまりしないようにしているので「ここで十分やりきった」「吸収するものはすべて吸収した」と思ったうえで、次の環境へ進むようにしています。

笠井:今、いいことを聞きました。「この会社に貢献した」ではなくて「吸収するだけ吸収した」という、そこなんですね?

奥山:そこですね。評価されている・されていないではなくて、この会社で学びたいことを学びきったかどうかだと思っています。ある程度学んだときに、この会社でさらに評価してもらうためにもっと頑張るのか、そうではなく別の環境で新たな領域にチャレンジするのか、という考え方をしています。

笠井:その考え方はとても大事ですね。社長さんになると、組織づくりも仕事の一つになると思いますが、自分なりの組織づくりに関しては、どれくらい興味がありますか?

奥山:この会社に入る前からとても興味がありました。ずっと自分のチームを持ちたかったです。

笠井:それはどんな想いからですか?

奥山:阿吽の呼吸で仕事をしたいというのがあります。1つのプロジェクトに対して、3〜4人で動くのですが、それぞれの想いがバラバラだと成果が出づらいのです。その3〜4人の考えがピタッと一致しているときは、仕事がとてもスムーズですし、成果も出しやすいというのを感じていたので、自分のチームや自分の会社を持つことに関心が高かったです。

笠井:チームづくりとしてはわかる話ですが、会社づくりとなると少し規模が大きくなりますよね。ご自身が去年の秋に社長さんになられて、それから半年くらい経ちますが、組織づくりに対する変更や改革はされたのですか?

奥山:結構変えた方だと思います。スタッフそれぞれのやり方が違っていたので、そこをまずならすところに取り組みました。しっかり研修したり、研修したうえで評価制度をガラッと変えたりしました。かなり実力主義な体制になりましたね。

笠井:そうですか。後半は仕事との向き合い方を3つのキーワードで伺います。第一のキーワードは「モチベーション」。奥山社長の仕事のモチベーションはなんでしょうか?

奥山:正直、モチベーションについて考えたことがあまりありませんでした。

笠井:ということはPRの仕事が好きということですか?

奥山:すごく好きですね。

笠井:そうするとモチベーションがいらないですよね。私もアナウンサーの仕事が好きだから、あまりモチベーションの有無は関係なく、テレビに出てるだけでうれしいみたいな感覚です。仕事をしているだけでモチベーションが上がってくるというパターンはありますよね。

奥山:そうですね。働くこと自体が好きです。ただ、もっと頑張ろうというモチベーションになっているのは、多分娘の存在が大きいと思います。

笠井:お嬢さんがいらっしゃるのですね。おいくつですか?

奥山:小学6年生です。彼女に与えられるものはすべて与えたいというところが源になっていると思います。

笠井:モチベーションの1つになっているのですね。続いて、第二のキーワードは「信念」。奥山さんの仕事の信念、大切にしていることはどんなことですか?

奥山:「To be “Indispensable” “なくてはならない”存在に」。アズの創業社長の言葉です。

笠井:なくてはならない存在になろうということですね。

奥山:そうですね。とても共感した言葉です。企業の代行屋さんではなく、パートナーとして認めてもらう。つまり、なくてはならない存在になるというのが、PR会社の最終的なゴールになってくるのかなと思っています。

「何か困ったことが起きたときに、相談できて、解決してくれる」と思ってもらえる存在になれたらと考えています。また、最近はAIに取って代わられる仕事が増えてきていますよね。

笠井:PR業界にもAIの影響はあるのですか?

奥山:PR業界も、どうしても取って代わられてしまう部分が出てきてしまうのではないかと思っています。ただやはり、この仕事は生身の人間を相手にしている仕事でもあります。

笠井:そのときの社会の空気感や、世の中に吹いてる風を捉えるのは大事ですよね。

奥山:はい。それは多分AIにはわからないと私は思っているので、だからこそ、PRで絶対に取って代わられない、企業にとってなくてはならない存在になることを、今後さらに意識していかないといけないと思っています。

笠井:第三のキーワードは「未来へのビジョン」。奥山社長の今後のビジョンはどのようなところにありますか?

奥山:最近はZ世代の消費行動が注目されていますが、これからはZ世代ではなく、今の小中学生が何を感じ、どう行動するかをきちんと分析しなければいけないと考えています。私の娘もそうですが、考え方が私たちとは全然違うので、それをどこまで生身の人間として分析して仕事に活かすかが問われる時代になると思っています。

笠井:そういう意味では、小学生の娘さんがいる分、仕事に活かせる部分が多そうです。そういう子たちに向けて、将来どういうPR活動をしていけば、消費行動につなげていけるのかを、日々考えることになりますよね。

奥山:そうですね。すでに少しずつ考え始めています。

笠井:それはSNSをどう使うかという話の延長線上にあるのでしょうか?

奥山:最近の子どもたちに対して思うのは、ウェブメディアも見ないし、テレビも全然見ない。では何を見るのかというとYouTubeやTikTokなどのSNSなのですが、それを見るのも最近はそこまで関心があるわけではなく、最後は自分が発信者になる傾向があるようにと感じています。発信者といってもメディア化するのではなく、自分のファンが集うコミュニティーづくりをしようとしている感覚がありますね。私の娘も、私に隠れてこっそりYouTubeチャンネルを立ち上げていてびっくりしました。

笠井:そういう世代であり、時代でもあるのですね。そのなかでPR活動をしていくというのは、昔と違って困難な部分が多いですね。

奥山:そうですね。何がウケるのかみたいなのも、本当にすぐ変わってしまう気がしています。

笠井:業界のいろいろなことが見えてきました。ありがとうございました。これからも新たなPR活動に邁進していってください。