10月13日配信回
2025.10.13

10月13日(月)配信 わかば歯科医院 院長 小野義晃

略歴

静岡県小山町生まれ。城西歯科大学(現明海大学)卒業した後、わかば歯科医院の院長を務める。明海大学形態機能育成学講座口腔小児歯科学研究生となり、歯学博士を取得し、2008年に日本小児歯科学会専門医となる。明海大学形態機能育成学講座口腔小児歯科学非常勤助教を勤めた後、2013年に日本歯周病学会認定医、2016年に日本小児歯科学会専門医指導医になり、現在に至る。

眞鍋:今日は、静岡の方からいらしたそうですね。

小野:御殿場のすぐそばにある小山町から来ました。

眞鍋:どのような歯科医院でしょうか?

小野:平成元年に開業し、予防をメインとしています。

眞鍋:もうかなり長くなりますね。

小野:そうです。まだ周りが予防に力を入れてないときからやりましたね。

眞鍋:普通の一般治療もあり、予防にも力を入れているということなのですね。認可外保育園も併設していると伺いました。

小野:衛生士が9人いるのですが、出産か育児のときに退職される衛生士さんが多く、働きやすくするため、認可外の保育園を作りました。

眞鍋:利用されているのは、主にスタッフさんが多いのですか?

小野:そうですね。ただ、一部は患者さんも利用できます。平日午前のみですが、お母さんの治療のときに、保育士が面倒を見て無料で預かります。

眞鍋:それは本当に助かりますね。静岡に開院されたのは、先生の地元なのでしょうか?

小野:地元ですね。

眞鍋:30年以上前というと、まだ予防に関する意識があまりなかった時代だと思うのですが、なぜ予防治療をメインにしようと思ったのでしょうか?

小野:どうしても歯を残すためには、削って詰めてという治療を考えますよね。でもどうしても異物なので、いろいろな力が入ったり、熱いものや冷たいものも食べたりしますから、再び虫歯になるリスクが高くなります。そのため、最初から虫歯にならないのが、1番いいということです。

眞鍋:そうですよね。本当に私も子どもの時に知っておきたかったです。

小野:今は、いろいろないい治療法はありますけど、やはり自分の歯が1番良いわけです。

眞鍋:そうですよね。そして、予防のコースとメンテナンスに分けて、医院ではコース分けしてるとお聞きしました。

小野:お子さんは、かばさんコースに入っていただき、定期的に検査とリスク検査もします。

眞鍋:リスク検査というのは、どういうものでしょうか?

小野:虫歯になりやすいかどうかなどを、唾液などを使って検査をします。

眞鍋:私も、子どもにやらせました。もう生まれつき決まっているのですか?

小野:ある程度そういうものもありますし、後から獲得する細菌もありますので、しっかりリスクを見るのが大切になります。

小野:予防に役立てるということですね。あとは、定期的に口の中の写真やレントゲンを撮っています。そのデータを蓄積し、虫歯になりそうなところを早めに発見し、早期の治療に繋げています。

眞鍋:レントゲンでは、噛み合わせや生え方をチェックしているのですか?

小野:そうですね。あとは歯並びなども予測ができます。

眞鍋:なるほど。

小野:大人の方はかめさんコースです。「ゆっくり長く付き合いましょう」ということで、メンテナンスをメインとして、担当の衛生士がずっとついて、お口の中の環境をずっと見守っていくというコースです。

眞鍋:大人もやっぱり虫歯になってから行くのではなく、定期的にチェックしてメンテナンスした方がいいのですね。

小野:普段自分でクリーニングとかされると思います。ただ、どうしても行き届かない部分が必ずあるので、プロが見てチェックし、ケアしてあげることが重要だと思いますね。

眞鍋:そうですよね。そういったことをまとめられた「歯のおもしろ雑学78」と言う本を出されたそうですが、子どもにも読みやすい内容ですね。

小野:小学校や中学校の図書館に置いてもらえるような内容で書きました。

眞鍋:これを読んで、歯について知ることは大事ですよね。

小野:あと、職業としての歯医者さんはなかなか分かりにくい部分があるので、そういうところも伝えたいと思っています。例えば、衛生士の中にも認定衛生士というものがあります。学会ごとに認定衛生士がいるのですが、専門知識を持った認定衛生士は意外と知られてないのです。

眞鍋:知らなかったです。

小野:歯周病学会であったりとか、小児歯科学会であったりとか、そういった認定衛生士の制度が今あります。ハードルが高く、小児歯科の認定衛生士は、全国に100人ほどしかいません。そのうちの2人が当院にいます。

眞鍋:では、もう通われている子どもさんも「ずっと来てます」という方も多いのではないですか?

小野:そうですね。遠くからいらっしゃる方もいますし、長く付き合っていただく方もいて、3世代で来ていらっしゃる方もいます。あと、衛生士さんの中には、昔うちの患者さんだった方もいます。

眞鍋:すごいですね。私も本当に大人になってから、「歯がこんなに大事なのだ」ということを初めて知りました。今、わかば歯科医院に通っている子どもたちは、小野さんが守り続けてくれるということですよね。羨ましいです。

小野:ありがとうございます。

眞鍋:あまり口の中の状態に自信がないという方でも、大人になってからそういったメンテナンスをして、きれいな状態にすることはできますか?

小野:そうですね。毎回同じ担当衛生師がつくので、前回と比較しながら、話すことができるのです。

眞鍋:担当になってくれるのですね。

小野:そうですね。私はもちろんドクターなのですが、患者さんからすると衛生士が先生なんです。私はあまり何もなければ素通りですよね。何かあればコンサルみたいな感じで相談には乗るのですが、普段は衛生士のところでそのままメインで見ています。

眞鍋:最後になりますが、これからやっていきたいことはありますか?

小野:そうですね。本当は、もういい歳になってきたので後継者を育てていきたいですね。

眞鍋:いい人はいますか?

小野:今、歯科大学の方にも非常勤講師で通ってるのですが、なかなか小児歯科で、私のところに来てくれる人がいないので、そういう方が来てくれると助かります。もし今は持っていなくても、これから小児歯科についていろいろ勉強したいという若いドクターとかいたら、うちに来て勉強していただきたいなと思いますね。

眞鍋:そういった後継者が見つかるまで、お元気で続けていただきたいなと思います。

小野:頑張ります。