11月17日(月)配信 新潟レディースライフクリニック 院長 杉野健太郎
1984年愛媛県松山市生まれ。新潟大学卒業、同大学院修了。新潟県内の関連病院で産婦人科診療に従事し、2024年、新潟県では20年ぶりとなる産婦人科有床診療所を開業し、現在に至る。
眞鍋:私より4つ年下の1984年生まれの同世代で、さらに出身も一緒とお聞きしました。
杉野:眞鍋さんと同じ愛媛県出身です。
眞鍋:嬉しいです。ただ、レディースライフクリニックさんは新潟県にあるということですが、なぜ新潟に開業されようと思ったのですか?
杉野:新潟大学に進学し、その後の就職先もずっと新潟でした。新潟に愛着も湧いたため、新潟の医療に貢献できればなと思い、新潟で開業することを決めました。
眞鍋:病院は婦人科系の診療がメインですか。
杉野:そうですね。産科と婦人科の両方をやっています。産科では分娩を取り扱っていますし、婦人科では女性のライフスタイルに沿った診療をしています。
眞鍋:そうなのですね。レディースクリニックと名前のつく病院はよく聞きますが、レディースライフクリニックという名前なのですね。
杉野:「ライフ」が入っています。コンセプトが「トータルライフをサポートする」のため、そこを強調したくて、この名前にしました。
眞鍋:2024年に開業されたということですが、10代から通い始めて、もうずっと何十年も通う、というようになっていくといいですよね。
杉野:うちのクリニックで生まれた方が、出産で戻ってくるというのが一つの理想形かなと思ってます。
眞鍋:私は婦人科にあまり行ったことがなかったのですが、本当は若いうちから行った方がいいのですか?
杉野:他の科に比べると、病院にいくハードルが高い面があるかもしれないと思ってます。10代の方もよく来られるのですが、痛みなどを気持ちで乗り切ろうとして頑張っている方も非常に多いです。無理しなくていいように医療でサポートしていきたいと思っていますので、何か問題がある方は早めに受診していただきたいです。

眞鍋:レディースライフクリニックさんの特色は何かありますか?
杉野:患者さんの価値観も大事にしながら、アドバイスするような形を大事にしてます。人の考え方を否定せず、こうした方がもう少し良くなると思います、など言い方にも気をつけています。
眞鍋:薬の処方だけではなく、生活のアドバイスもされるのですか?
杉野:そうですね。婦人科はよく生理痛で受診される方が多いのですが、最初はひたすら鎮痛剤を出していました。鎮痛剤が効いて一時的に和らぐのですが、結局治るわけではないのです。
眞鍋:痛みを止めてるだけですよね。
杉野:これは本当に治療してると言えるのかなと思いました。そのため、体のコンディションを整えられるように、患者さんの状態を確認しながらアドバイスをさせていただいています。
眞鍋:そうだったのですね。他にも力を入れている事業もあると伺いました。
杉野:産後ケアに力を入れています。出産した後のお母さんが医療機関で赤ちゃんを預かってもらって、授乳の仕方とかを見てもらったり、育児の相談を受けられたりします。赤ちゃんを預かってもらっている間、お母さんがゆっくりできるため、すごく喜ばれていますね。
眞鍋:どれくらいの期間受けられるのですか?
杉野:行政によって補助の対象が異なりますが、一般的には生後6ヶ月から1年くらいまで補助が効くところが多いです。
眞鍋:お母さんにとっては、産後ケアがあるとないでは全然違いますよね。
杉野:利用回数に制限はそれぞれあるのですけれども、非常に喜ばれています。
眞鍋:やはり新生児だと24時間、緊張感があったため、私も利用したかったです。
後半は3つのキーワードで仕事への向き合い方というのを伺っていきます。まず1つ目のキーワードはモチベーションです。何が原動力になっているのでしょうか?
杉野:やはり私たちのクリニックで関わった方の幸せそうなシーンや感謝の言葉とかをいただいたときですね。人の嬉しそうな姿を見られるというのがこの仕事のすごく特別なところかなと思っていて、それが次の仕事へのモチベーションにつながっています。

眞鍋:なるほど。そして2つ目のキーワードは信念です。何か大事にしていることはありますか?
杉野:そうですね。大事にしていることは、守破離(しゅはり)という言葉を大事にしています。
眞鍋:難しい単語ですね。
杉野:中学1年生のときの先生がお坊さんだったのですが、その先生に言われた言葉で、まずは基本的な概念をしっかり理解して、そこからそれを破るというプロセスを経て、最終的にはそこから離れるということです。我々の仕事だとガイドラインという診療の指針があるのですが、まずはそれをしっかり守って、理解して診療を行います。
ただそれでは、それ以上の結果は出ないため、より良い診療していくために、極端に逸脱しない範囲ではありますが、破るという形で少し要素を加えていきます。最終的には自分たちで工夫して考えた概念を作っていくというのが、より良い仕事につながると思っています。
眞鍋:初めて聞いた言葉ですが、心に留めておこうと思います。そして第3のキーワードは、未来へのビジョンです。今後どのようなクリニックにしていきたいかを教えてください。
杉野:そうですね。日本の周産期の医療は非常に合併症も少なく、お母さんと赤ちゃんにとって優しい医療ができていると思います。ただ死亡率や後遺症はまだゼロにはなっていないため、そこをゼロに近づけていけるようにしていきたいです。またお母さんたちが、より良いコンディションで育児がスタートできる環境を整えられるようにアドバイスをするのも我々の仕事かなと思っています。
眞鍋:それはどういうアプローチなのですか?
杉野:足りない栄養を加えることもそうですし、赤ちゃんのケア方法では3つの「低」を避けるということが大切になります。「低酸素」「低栄養」「低体温」ですね。
眞鍋:その3つが大丈夫だと、いいコンディションでいられる可能性が高くなるのですね。
杉野:また、最近はやっぱり妊娠前からコンディションを整えるプレコンセプションケアという言葉が産婦人科の中でもようやく浸透してきました。例えば、妊娠中は鉄がどんどん消費されていきますので、貧血を抱えてた方がそのまま妊娠するよりは、貧血を良くしてから妊娠した方が、コンディションが整うと考えられています。
眞鍋:最初のスタートラインを少し有利なところから始めるという考え方ですね。妊娠前からコンディションをケアして、そしてまた産後ケアの部分にも力を入れてらっしゃるので、出産後も自分のことをお母さんがちゃんと大事にできるのですね。
杉野:赤ちゃんを最優先にするのが当然な部分はありますが、お母さん自身のコンディションもすごく大事なので、そこをケアするのが我々の仕事かなと思っています。
眞鍋:本当にこれからも元気な女性をどんどん世の中に送り出していってほしいなと思います。頑張ってください。
杉野:ありがとうございます。頑張ります。

