2月17日(月)配信 フィールドアップ 代表 田上誠司

1998年、慶應義塾大学理工学部機械工学科卒業。東京コカ・コーラボトリング(現在:コカ・コーラボトラーズジャパン)に入社。新規開拓営業を経験後、マーケティング戦略策定を行う。また新製品開発として「朝バナナ」(ゼリー飲料)の開発を行う。2005年株式会社コーチ・エィに入社。広報・イベント責任者として、企業ブランディングに寄与する。2016年FieldUPを立ち上げ、エグゼクティブコーチとして300名以上の管理職、経営者の1on1コーチングを実施。100社以上の管理職に対して集合トレーニングを実施し、特に若手に対しての新人研修、パーパス研修などに力を注ぐ。
笠井:フィールドアップのお仕事は、コーチング。最近聞くようになりましたが、どういうお仕事ですか?
田上:2つ種類がありますが、1つは経営者、役員の方にコーチをしています。スポーツ選手にコーチがつくのと同じように、経営者、役員の方をビジネスアスリートと考え、パフォーマンスを上げるためのコーチとして支援させていただいています。
笠井:いわゆる経営的な指南をするのか、それとも本人のマインド、やる気といった部分への働きかけか、どっちの役割でしょうか?
田上:指南するのはコンサルタントというお仕事で、コーチはその人と対話を通して、いろんな気づきを得て貰ったり、モチベーションを上げたり、新しい発見をしていただいたり、対話をするパートナーとして使っていただいています。
笠井:コーチングをすると、どんな変化が出てくるのでしょうか?
田上:人それぞれだと思いますが、例えば仕事への向き合い方、コミュニケーションの取り方、どういう風にビジネスを推進するための軸を作っていくか、ビジョンを明確にするか。そういったことをコーチさせていただいています。
笠井:コーチングを受けた方からはどんな感想が届いているのでしょうか?
田上:正直、経営者の方も愚痴をおっしゃる方が多くいらっしゃいます。経営者は何か思うところがあっても愚痴を吐けないので。なので、それらを吐き出していただきながら、どういう関係性を築いていくのか、どういうビジネスを推進していくのかを一緒に話していくという感じです。
笠井:カウンセリングであり、モチベーションを上げていくことがコーチングになっていくということですね。そして、若い学生さんとも関わりがあるそうですね。
田上:私が理系の出身ということもあり、理系の学生をコーチさせていただいています。理系の学生は技術的には優秀なのですが、コミュニケーションに難がある方も多いです。
笠井:研究などに凝り固まって、外へ向かっていく人が少ない感じもするので、そこでコーチングを。どういう風にコミュニケーションを取り、スキルを上げるかってことですね。
田上:そうですね。あとは自分が開発した技術をどうビジネスに繋げていくのかを一緒に考えていくみたいなこともやらせていただいています。
笠井:理系の人はコミュニケーションが苦手という話をしながら、理系の田上さんがコーチングをしているという。経歴を見ますと、慶応大学理工学部機械工学科卒。コミュニケーションの先生というような出身ではないですよね。大学時代からコミュニケーションが得意な方だったのでしょうか?
田上:逆のこと言うと、研究が苦手だったということが言えるかもしれません。
笠井:そのタイプね、文系寄りの理工学部。卒業後は、コカコーラボトリングに入社。今のコカ・コーラ ボトラーズジャパンですね。機械工学と関係ありますか?
田上:全くないです。最初はずっと営業をやっていました。大学の同期は理系の会社に行きましたが、私だけ営業職で会社に入りましたね。

笠井:10年ほどお勤めになられて、2005年にコーチングの会社に転職をされた。なぜ転職されたのですか?
田上:実はコカコーラの新製品開発がきっかけでコーチングの世界に入りました。コンビニの栄養ドリンクとかゼリー飲料の棚に朝バナナっていう商品があるのですが。
笠井:物が食べられない入院中に飲んでいました、栄養素が高いと思って。
田上:ありがとうございます、商品開発させていただいたのです。その商品を売るため、社内に2万人いる営業とコミュニケーションを取るときに、上司からコーチングの勉強をするのはどうかとアドバイスをいただいて、どうやったら営業の方と良いコミュニケーションを取れるのかを勉強したのがきっかけでした。
笠井:お客さんとしてこの世界に接してみて、魅力を感じ、コーチングの会社に転職された。転職されてどうでした?
田上:その前から、人のエネルギーが上がれば、きっとパフォーマンスも上がるだろうと信じていて。なので、こういう仕事を自分の仕事にできるのはすごく嬉しいなと思ったのが印象に残っていますね。
笠井:喜びに繋がる仕事に就けるって素敵なことですよね。その後自分の会社を立ち上げた、独立しようという決断のきっかけはどこだったのですか?
田上:一番大きかったのは、経営者をコーチする仕事をしていたので、自分も会社の経営者になってみようと。そう思ったのも、経験してないことは語れないんじゃないかと思ったからです。
笠井:コーチングに対する大きな魅力や意義は言葉にすると何でしょうか?
田上:私はクライアントから”エナジャイズ”するコーチと言われていて。
笠井:エナジャイズ、初めて聞く言葉です。
田上:背中を押す、エネルギーを与えるっていうイメージですかね。
笠井:エナジャイズするコーチ。つまり人の背中をポンと押してあげられるような存在が田上さんだと。
田上:何かアドバイスをするとかというよりは、その人が持っている可能性を、一歩背中を押していけるようなコーチを目指していますし、そこにやりがいを感じます。

笠井:今やっているお仕事への田上さん自身のこだわりはどんなところでしょうか?
田上:一つは、目の前の人にちゃんと向き合うことですね。人それぞれ違うし、持っているものが違うので、その人とちゃんと向き合って、コミュニケーションを取る、対話をする、そのことを意識する。上から何かを教える人でもなく、フラットにその人と向き合う。
笠井:コーチには上から下へ享受していくというイメージがあるのですが、そこは気を付けてらっしゃるんですね。
田上:教えるのはティーチャーなので。コーチはフラットに、その人が最大限パフォーマンスを発揮できるように支援します。
笠井:対等の立場ではあるけれども、この人の言うことを信じようと思ってもらうには、ご自身が豊かでないといけないですよね。そこはどうされていますか?
田上:自分自身が面白い人であろうと思っております。コーチを受ける人は多分視点を変えたいのだと思っていて、少し違う経験を自分自身がしていることが大事だと思っています。
笠井:経営者から教わりたいのではなくて、違う経験をしている人からの、別の角度からのご意見が喜んでもらえるわけですね。どんな経験をしているのでしょうか?
田上:世界中を飛び回り、六大陸を制覇しようと思って、昨年は南極に行ってきました。そこで見たこと、聞いたこと、感じたことが、自分自身の視点を変えることにもなりますし、ちょっとした発言が、今の狭い日本、狭い世界で考えている状況から一歩抜け出すヒントになると思っています。
笠井:コーチングの話でもあるし、良いコミュニケーションを取るためのスキルアップの話でもありますね。これからのビジョンがあれば教えてください。
田上:エブリワンニーズコーチと言うように、全ての人にコーチがついて欲しいと思っています。一人で悶々と考えるより、誰かと対話する、話すことで、凝り固まった考えを広げることができると信じているので。すべての人がエグゼクティブコーチをつけるのは費用的にも難しいので、AIコーチを使ったり、アプリを使ったりして、すべての人が対話をして、自分の可能性を開ける世界ができたらいいなと思っています。
