12月16日配信回
2024.12.16

12月16日(月)配信 宝塚ヒルズクリニック 院長 高橋裕二

略歴

大阪大学医学部卒業。消化器外科医として大阪大学附属病院、市立豊中病院勤務。2004年、医局を退職しフリーランス内視鏡医に。知人の勧めで美容皮膚科の道に入り、2012年に宝塚ヒルズクリニックを開業、現在は美容皮膚科クリニック院長を務める傍らで、10ヶ所以上の医療機関で消化器内視鏡医、指導医としても勤務している。

笠井:先生の経歴を拝見しますと。大阪大学医学部を卒業した後に、消化器外科医として大阪大学附属病院などを経て、フリーランスで内視鏡の医師になっていらっしゃいますね。ここまで見ると、食道がんなどの検査、治療とか、そういうことにあたっていらっしゃったのかなと思うんですけど。

高橋:消化器系、色々分野分かれるんですが、食道、胃、胃腸の手術、あとは肝臓とか、膵臓とか消化器。その辺全般を一応消化器外科としてやってました。 
笠井:今のお話と、雲雀丘花屋敷で美容クリニックをやっていますって話が全然離れているんですよ。ここが面白いなと思いまして。どういう経緯でそうなったのでしょうか。

高橋:消化器外科を7年ぐらいやりました。消化器外科というのが癌を対象にしてたので、当時は手術して、その後診察して、例えば抗がん剤使わないといけないとなった時に、全部自分でやっていたんです。今は専門が細分化されて、手術は手術で、抗がん剤は腫瘍内科っていう分野があるんですが。

笠井:昔は消化器外科医が一手に引き受けていたと。何年ぐらい前の話ですか? 

高橋:2000年代の本当に最初ぐらいです。癌でお亡くなりになられる方を最後の最後まで見ていた時代なので、性格的なものもあるんでしょうけど。ちょっと入り込みすぎて、メンタルがやられて、心が折れていって、もう外科は厳しいと思いました。今は胃カメラとか腸の内視鏡は消化器内科って内科がやるんですけど、当時は全部僕らがやっていたんです。そこで、内視鏡を武器に独立しようと。フリーランスという形で、いろんな病院にお世話になって。でもやっぱり内視鏡だけだと、患者さんと密に関わるっていうのがあんまりないです。 

笠井: コミュニケーションも減りますよね。 

高橋:なので、モヤモヤしていたところに、たまたま知人のドクターに、「美容系の仕事とか向いてるかもしれないから、ちょっとやってみないか」と誘われて。全く知らない分野だったんですがやってみようと。内視鏡の仕事をやりながら、空いてる時間で美容の勉強をし始めたっていう経緯です。 

笠井:この美容クリニック、どの部分を主にやるんですか? 

高橋:うちは僕一人で全部やっているんです。スタッフは全く置かずに。人を信用しないわけでは全然ないですが、全部自分でやりたい人なんで。お客さんが入ってこられて、施術して、会計して、お見送りする。その一連を全部自分でやりたかったんです。一人でやるっていうのは、もちろん美容業界でもなかったし、一般のクリニックレベルでも無いので、色々調べていたら、最終的に、医療専用のコールセンターがあると確認して、これはできると思ってスタートしました。看護師さんが手伝わないといけないような大きな手術はできないので、自分ができる範囲、いわゆるフェイシャルや、顔の注射したりとか、レーザー当てたりとか、そういったところに特化しています。

笠井:そうなると、高橋先生のキャラクターが凄い重要ですよね。 

高橋:まさにそうです。まず思ったのが、僕自身がくしゃくしゃになったらいけない。自分が広告塔にならないとお客さんも来てくれないので、ちゃんとしようと思いました。 

笠井:お客さんの評判はいかがですか? 

高橋:うちの場合は、本当に期待して治療を受けたいっていう方が来られます。だから、冷やかしのような、とりあえず行ってやろうというような感じではなくて、いろんな悩みを持った人からLINEとかで連絡を受けたりして、相談することも全部させてもらってます。そういった段階を経るので、お客さん自身も来られる時に大体もうわかっていらっしゃいます。 

笠井:診療前のLINEコミュニケーションを大事にしているということですね。 

高橋:とにかくもう納得するために話をするので、自分が思ったのと違う、納得できなかったら、一回持ち帰ってください。もしよかったらまた連絡くださいという形にしています。これは美容業界の闇でもあるんですが、少しでも収益を上げて、利益をのせたいということで、お客さんの集客合戦になっています。よく問題になっているのが、アップセルと言って、安い値段で呼び込んで、あなたはこれじゃダメだから、高い治療をしましょうと勧める。でも、うちはそれは絶対しません。こういう値段でやります。決して安くないかもしれないですけど、継続してやることが大事なので、その辺も全部踏まえて考えてきてくださいと。

笠井:さて、後半は皆さんに3つのことをお伺いしております。第一のキーワードはモチベーション。仕事と向き合う上での高橋先生のモチベーション。その源はどんなとこにあるんでしょうか。 

高橋:やはり常に感謝の気持ちというのは、忘れたらいけないなと思っています。家族への感謝もそうですし。来てくれるお客さん、患者さんに対する感謝の気持ち。自分の誠意を持って対応して、とにかく誠実にやりたいと思っています。内視鏡治療も美容もそうなんですが、一応一人でやるものなので、内視鏡は看護師さんなどがいますが、医療行為をするのは一人という感じです。自分が担当するからには、プロとして誇りを持ってやらないといけないですし、僕が担当させてもらってる方には嫌な思いはしてほしくないので、そういった人へ感謝の気持ちは忘れたらいけないなと思っています。

 笠井:第二のキーワードは信念。仕事の信念はなんでしょうか。 

高橋:やはり一人でやってるので、自分がちゃんとモラルを持ってやらないといけないと思っています。 

笠井:周りの注意とか指導とか、そういうものは得にくいですよね。 

高橋:周りを遮断してるわけではないんですが、美容業界って悪いとこもあるんで、そういった情報を入れないようにしようと思ってます。その分お客さんから聞くんです、あれがよかったとか。アンテナを張り巡らしつつ、いろんな情報を自分で調べて、自分のモラルを形成して、そこに反するようなことはしたくないと思っています。

笠井:第三のキーワードは未来へのビジョン。今後どういうようなことを考えてらっしゃいますか? 

高橋:最近人と関わるようなことが仕事以外のことであったんです。僕、自分では社交性があると思っていたのですが、仕事をしてみると、結構一匹狼みたいな感じだと気づいて、自分の世界に入って、プロを追求するタイプでした。でもある程度年を取ってくると、やはり人と関わっていって、何かを還元していきたいっていう思いが出始めるじゃないですか。人との関わりを大事にして、そこから色々広げていくというのは今後考えていこうかなと思っています。美容は、正直に言いますと、あまりこれから広げていくつもりはないので、少しずつ縮小せざるを得ないとは思っていて、年齢的なこととか、体が動かなくなってくるとか、正直あります。

笠井:確かに美容業界の誇大広告とか、色々あるじゃありませんか。そんな中で、自分のビジョンの中では美容はこれから縮小するかもしれないと正直に語るということは、おそらく、というか間違いなく、患者さんとも正直に向き合ってるんだろうなと思います。嘘がつけない先生って。 

高橋:嘘をついたらやはりばれますので、誠実でありたいと思いますね。