7月22日(月)配信 株式会社たにほや 代表取締役 谷保清香
1980年、東大阪生まれ。幼少期から身近にあった借金問題により、お金に振り回されない人生を歩みたいと考える。大家さんになりたい(≒不労、時間の自由)という気持ちから不動産業界を選択。買取再販の仕入れ・収益不動産の仲介の経験を経て、リフォーム工務店で古家再生士®として3年間で約700軒の空き家の現地調査、年間約4~50軒の空き家再生に携わったのち、2023年に宅建業免許を受け、一人きりの不動産屋を開業。リフォーム済中古戸建て「ミニマルホーム」と、収益用中古戸建ての企画・販売を手がけている。共著に『わたしが辿り着いた場所 夢を叶えた20人の物語』(Rashisa出版)がある。
笠井:株式会社たにほや、不動産業のようですけども、中古物件だけ扱っているんですか?
谷保:そうですね、今のところ中古戸建てばかり。
笠井:新築を扱わないのはどうして?
谷保:前職で古家再生士®っていう、たくさん古い家を見るお仕事をしてたんですね。その時に3年間で700軒ぐらい古いお家を見たんですけど、こんなに余ってて誰も手をつけないんだっていうことを実感しまして。リフォームの知識もその時の3年間で身についていたので、これは自分が活用するしかないと。
笠井:地方に取材に行くと空き家問題っていっぱいあるんですが、都心部でもあるわけですか?
谷保:世田谷区とかって実はすごく空き家が多いんです。
笠井:高級住宅地ってことは、中古物件にビジネスチャンスがあると。
谷保:ビジネスチャンスもあるし、新築は建築物省エネ法の改正で建築コストが上がってまた高くなってしまうので。今物価も高くなってきていますし、月々の住居費をちょっと抑えたいっていう方には、絶対に中古住宅がおすすめです。中古っていう選択肢を皆さんに知っていただきたいなっていう思いでやっています。
笠井:経歴を拝見すると、なかなか波乱万丈な道を歩んでらっしゃいますが、特にお金で苦労されたと。
谷保:自分はそうは思っていなかったんですけど、そうですね。母方の祖父が会社をやっていたんですが、知らぬ間にいろんなところからお金を借りて、数千万円の借金があって。母親と叔母がよく「明日までに数百万円を用意しないと不渡りになる」とかいう会話をしているのを聞いていました。ただ、誕生日にはケーキも食べさせてもらっていましたし、そんなに貧しいっていう感覚はなかったです。多分貧しかったんですけど、お腹いっぱい食べさせてもらっていて。親は大変だったと思います。
笠井:これまでどんな仕事をしてらっしゃったんですか?
谷保:20代はもう数えきれないぐらい転々としています。幼少期にお金の問題を見ていたので、お金に振り回されない人生を生きたいと思って、高校生の時から歩合給のアルバイトを選んで、甲子園で売り子をしていました。高校卒業してからすぐ始めたのは、完全歩合の新聞の営業ですね。一日200軒300軒とピンポンして新聞を取ってもらい、1契約3万円でした。
笠井:お金に振り回されたくない人生を考えたら、公務員や大企業に入って安定収入を得たいって考えるのが普通じゃないですか?
谷保:全く考えたことなかったです、普通をわかってなかったですね。
笠井:自らの働きで稼いでいくっていう基本的な精神があるのかもね。
谷保:何があっても自分の力で稼ぐ力を身につけたいと思ってます。
笠井:不動産業でどうしたいと思ったんですか?
谷保:不動産業って言うよりも賃貸業を、いわゆる大家さんになって不労所得を得て何もしないでもお金が入ってくる状況を作りたいと思ったんです。まずリアルな情報を知るために、本からの情報だけではなく実際に自分が買いたい不動産を扱っている不動産屋さんとか、不動産屋で働く人って銀行からの評価が低いので、融資に強い会社に入ってみようとか、あとは安い金額で買いたいから、うまく仕入れできるように、仕入れの会社に入ったりしました。
笠井:大家さんデビューするために会社に入ったんですね。収益ってどれぐらい上がるんですか?
谷保:今ちょっとこの間大きいのを売っちゃったんですけど、まだマックス家賃年収540万くらいですね。
笠井:不労所得だから座っているだけでね。で、大家さんデビューしてから、空き家を賃貸用にリフォームする工務店にも勤めてらっしゃると。
谷保:大きなマンションを買って何億も借金してっていうのは、私には合わないなと思っていたので。自分が最悪死んでも誰かに残った時に困らないぐらいの借入規模で、その代わりボロボロをリフォームして、なるべく月々のキャッシュフロー出したいって思っていました。一棟目からボロボロの全室空室のマンションを安く買って自分で一棟リノベーションのプロデュースをして、利回り22%とか5年で回収できるようなものを作りました。
笠井:株式会社たにほやは今どういうお仕事を中心としているんですか?
谷保:中古戸建てを買い取って、自社でリフォームして、一つはマイホーム用に皆さんに提供するのと、もう一つは、私みたいにちょっとのお金で不動産収入を得られるようになりたいっていう方のために、少額投資用の商品を用意してます。中古戸建てをリフォームして、もう入居者までつけて販売するっていう。
笠井:大家さんっていうと、マンションとかアパートってイメージがあるんだけど、中古の戸建ての大家さんなんだ。お客さんが入ってる状況で提供していると。
谷保:戸建賃貸は、数が少なく入居が決まると退去までの期間が長いことが多いんです。リフォームだけして引き渡してもいいんですけど、入居付けってやっぱり難しいので。さっき不労所得って言ったんですけど、不労所得と言いつつやること結構あるし。私はお金をあまり持っていない方にも買っていただきたいと思っていて。少額となると、ちょっとエリアを外したりするので、入居付けは苦労するというか、少し難しいんです。
笠井:家だけ買ってもお客さんが入ってこなければ、それ単なるお金の無駄だから。でも入居者がいれば、家賃は入ってくるわけですもんね。何人でこの会社やってるんですか?
谷保:実は1人なんですよ。リフォームするのは大工さんなんで、私は仕入れするだけなんです。入居付けもメールで済むので。メールで仲介業者さんに100社営業かけると、その先の仲介業者さんが頑張ってくれる。私は、現地調査や事務所に週に1~2回行くかどうかですね。
笠井:最後に未来へのビジョン。これからどんなふうになりたいと思ってますか?
谷保:今までは自分のことばかり追いかけていたんですけど、今、物価上昇とかで世の中の雲行きが怪しいというか、みんな元気がない、我慢して生きているのが、すごく気になっていて。でも私と出会った方には、今(将来の備えには)新NISAなどの選択肢もあるんですが、その積み立てるお金すら、例えば今500万持っているんだったら、その500万で中古戸建てを買って、で、月々の家賃が例えば6万円だとしたら、その6万円で新NISAを積み立てていってほしいと。なぜなら500万円の現金で積み立てると数年で底をつくけど、家賃収入はずっと入り続けるから。そういうお金の使い方があるよという事を、どんどん皆さんに広めていきたいです。