5月13日配信回
2024.05.13

5月13日(月)配信 株式会社フォーサイト CEO 山田浩司

略歴

1962年生まれ。名古屋大学法学部を卒業後、大手資格受験予備校を経て、難関資格受験予備校フォーサイトを設立。映像コンテンツを主軸とした独創的な勉強法を導入。宅建士、社労士などの難関資格において全国平均を上回る合格実績を上げている。著書に『EdTech エドテック テクノロジーで教育が変わり、人類は「進化」する』(幻冬舎)がある。

笠井:株式会社フォーサイトは通信講座の予備校ということなんですけれども、どうも普通の予備校じゃないみたいですね。

山田:普通のことやってても人生面白くないので。面白くできないかなっていうことで、バーチャル講師というアバターを使った講義をやったりとか。今もeライブスタディという、ライブみたいな講義をやれないかと思い取り組んでいます。歌手のライブとかってすごく楽しいじゃないですか。あのような講義だったら勉強したくなりますよね。で、そういうことばっかやってるから、業界では真っ先に叩かれますね。

笠井:叩かれる?

山田:学校業界って、勉強は真面目にすべきだって考えてる人がすごく多いので。最初にバーチャル講義をした時、「なんでこんなのやるの、金返せ!」とか言われたんです。「最近はもっとやれ!」になってきましたけどね。

笠井:累計受講者数は2024年4月現在で40万人。資格自体は一般的なものを扱うなかで、40万人が受講してきたってことは、合格率が良いということになりません?

山田:合格率は当たり前かなと思ってて。皆さん、人生かけて受けようと思ってるんですよね。よくある相談が「会社がもうすぐ潰れそうだから資格取りたい」とか、「今妊娠してて離婚しようと思ってる。働かないといけないけど、子供抱えながらだから、資格を取るしかない。何の資格を取ったらいいですか?」とか。

笠井:どの資格を取ればこれからの人生が有利になるかっていうアドバイスをされているんですね。今の世の中って、自分の仕事をどうしていこうかと考えてる人が多いんでしょうね。

山田:日本人ってある意味真面目だなって思うんです。成長したいって思ってるんでしょうね。少なくとも資格やろうと思ってる人は、もっとステップアップしたい、資格を取って関連業務を広げたいとか、結構前向きですね。

笠井:会社を立ち上げたきっかけはなんでしょうか?

山田:きっかけは、正直あんまりいい話ではないんですけど。大学を出て、一流の商社に内定もらったんですが、入社前の健康診断で、自分が特発性難聴だと判明しました。確実に聴力がゼロになる病気で、現時点では治すことは不可能だと。困ったなと、商社に入るのを辞めて、いろんな人に相談したんですよ。耳が完全に聞こえなくなってもできる仕事って何がありますか?って。最初は弁護士になろうと思ったんですけど、裁判所に傍聴に行ったら、みんなすんごいちっちゃい声で喋ってるんですよね。

笠井:ドラマと違うんですよね。

山田:大声をあげたり叩いたり、あんなことはないですよね。弁護士さんに、聞こえないと仕事は無理だよって言われて、弁護士は諦めて。で、たまたま知り合いの伝手で講師をやったら、人気が出たので、そのままアルバイトで講師をやりました。これが25歳の時。ただ、聴力はどんどん低下していくんですよね。計算すると、40歳までに完全に聴こえなくなる。どうしようかと考えて、使われてたら結局クビになるから、使う方になればいいって考えに至ったのが30歳の時です。使う方なら、指図さえすればいいし、筆談でもOKなので。それで会社を興して、まあまあの規模になりました。

笠井:自分のマイナスの体験をプラスに転じていく、その大きなきっかけが聴力の病だったと。大変失礼なんですけども、今の話を聞いて、山田さんが補聴器をされてるんだと気づきました。つまり、普通にお話してると全くわからない。だから、そういう部分も含めて、ご病気とか障がいとかを感じさせない方だと思いました。

山田:医者にも言われます。普通この聴力でこういう会話は絶対できないって言われてるんですけど、読話などの努力によってできるようになりましたね。

笠井:山田さんの仕事のこだわり、あるいは他社との差別化とは、どんなところでしょうか。

山田:やっぱり今、日本の子供は勉強をしなくなってきてるんですよね。これが社会問題になっている。僕は、これは子供は悪くないと思ってるんですよ。だって、今のコンサートとかゲームとか、ものすごく面白いですよね。夢中になるのは当たり前ですよ。だったら夢中になる学習教材を作った方が早いと思うんですよね。そういう知見を勉強に取り入れて、夢中になるような勉強に変えていかないとダメだと。

笠井:最後に、未来へのビジョンを教えてください。

山田:芸能人よりうちの授業の方が面白いって言わせて、勉強にハマらせるっていうのをやりたいですね。YOASOBIとかSEKAI NO OWARIより、うちの講師の授業の方が面白いってなったら。

笠井:エンタメに対抗するわけですね。

山田:ちょっと大袈裟な話なんですけど、勉強もエンタメと同じくらい面白くなれば、みんな勉強するようになって、すぐ日本は復活すると思うんですよ。例えばIT関係を楽しく勉強して、みんなITをやれるようになったら、アメリカもすぐ抜けると思いません?

笠井:確かにそうですね。成長している企業に行くと、会社自体が、空間が楽しそうで、皆さん好きに、自由に働いてるような感じがあって。楽しみとともに仕事をして伸びていくのは見ててわかりますよね。山田さんの話を聞いていて、一つ物事を突破していく発想といったものがわかる気がしました。しかも、自分のこの体の色々な不具合とともにね。それを乗り越える力も含めてパワーをいただきました。