7月22日(月)配信 株式会社ネクスクール 代表取締役 山口諒
1996年生まれ、東京都出身。現代の学校教育に疑問を抱き、2018年大学4年生の時に株式会社ネクスクールを創業。2019年にはフランチャイズにて「放課後等デイサービス ウィズ・ユー新越谷」を開所。子どもたちの「好き」や「興味」に目を向け、そのなかから得意を見つけ伸ばせるような環境をつくり、自信を持って社会に出て挑戦していけるようサポートしている。現在は、放課後等デイサービスでハンディキャップのある子どもたちの得意を見つけ、伸ばしていけるような環境づくりをしている。
笠井:山口さん、とてもお若いですね。おいくつですか?
山口:27歳になります。
笠井:27歳ね、うちのゲストの中でもこれまでで最も若いですね。株式会社ネクスクール、スクールと入ってますので、教育関係の会社ということになりますか。どんなお仕事ですか?
山口:主に発達障がいの子供たち向けに事業をやっておりまして、放課後等デイサービスと言われる福祉事業や、発達障がいの子たちが高校受験を目指すための塾などをやっております。
笠井:そもそも山口さんは学校の先生を目指してらっしゃったんですよね?
山口:大学は教育学部教育学科で、学校の先生になるための勉強をずっとしておりましたが、大学4年生の時に会社を起こしております。元々両親が小学校の教員なので、同じ教育の道を進むつもりだったんですけど、大学で教育を勉強していくうちに、今の学校教育じゃ世の中は変えられないなって思って。実際にすでに教員として働かれている先生たちの背中を見たり、小学生と向き合ってみたりした中で、僕が思う教育観と、実際に学校教育で行われている教育観に違いがあって。学校という枠の中じゃなくて、自分で会社を起こして、自分が思う教育を提供したいなと思って。
笠井:山口さんが思う教育はどういったものなんですか?
山口:僕が思う学校教育って、平均点を上げる教育だと思っておりまして。そのために何をするかっていうと、塾とかでもそうですけど、苦手科目を克服する教育が今の学校教育だと僕は思ってるんです。でも、社会に出た時に求められるものって長所じゃないですか。特に我々が今向き合っている発達障がいの子たちって、まず平均っていうところからアドバンテージが、そこだけいわゆる健常者って言われる子より長けていることって結構あるんですよ。なので、僕は小さい内から得意なところを伸ばすっていう教育をもっと個々にしていきたいという思いがあって会社を起こした、という経緯になります。
笠井:学生時代から発達障がいなどの障がいを持つお子さんたちに注目されていた?
山口:そうですね。母親が小学校の特別支援学級の担任を20年ぐらいやってて。自分が中学生とか小学校高学年の時から、母親の元でボランティアさせてもらったりとかしてたので、そういう子たちの環境を変えたいなっていう思いはずっとありました。
笠井:これビジネス番組なんで、こういう質問になるんだけども、果たして発達障がいのお子さんたちを対象にした福祉事業は、ビジネスとして成り立つのか、運営できるのかって部分の不安はなかったですか?
山口:最初はとてもありました。ただ、我々が主に軸を置いている放課後等デイサービスというものに関しては、福祉事業として国からの補助金のようなものが毎月入ってくるので。病院とかと一緒で、ご利用者様の負担は一部、残りは国からのお金で成り立っているので、ビジネスとしてはてっぺんが決められているっていうところはあるんですけど、安定してお金は入ってくる状態です。
笠井:社会のためにもなってますしね。今、何人ぐらいのお子さんが利用されてるんですか?
山口:会社全体で言うと、約50名ほどのお子さんを見ております。
笠井:そのほとんどが障がいを持っていると。お子さんたちがネクスクールにやってきて、どのような状況になりますか?
山口:やっぱ親御さんとお話をすると、ほとんどの方が高校卒業までは目指したいっていう話をされて。特別支援学校だと、卒業資格が特別支援学校高等部卒業って形になるので、高校卒業じゃないんですよ。例えば、専門学校で試験を受ける条件が高卒以上になると、含まれない可能性が出てきちゃうんです。なので、通信でもいいから一般の高校に入れたいという小学生の親御さんからの意見をもとに、高校受験までの道筋を一緒に作っていったりとか、あとはその先の専門学校を狙ったりというところを一緒に考えています。
笠井:そうですか。やはりお子さんたちは変化が見えますか?
山口:変化が見えますね。親御さんには連絡帳とかで報告をするんですけど、うちの子こんなことできるんですか、っていう声をいただくので、そういう言葉をいただくと僕なりの教育観ですけど、間違ってないのかなって思いますね。
笠井:指導している中でのこだわりってどんなとこですか?
山口:子供たちになるべくNOって言わないようにしておりまして。現場のスタッフには、危険なこととか他人の迷惑になること以外は止めないでくれっていう風に伝えてます。やっぱり子供たちって、どんなところから気づきを得るかがわからないので、大人の価値観で子供たちを縛り付けちゃうと、決まった大人にしかならないと思っているので。なので、「スタッフの役割は子供たちの興味に火を灯すことだよ」と伝えております。その興味がだんだん好きになっていって、趣味になって、他人から褒められて特技になって、その特技に他人がお金を出せばビジネスになると僕は思っているので。まず興味を持たせるのが大人の役目ですと、全てのスタッフに伝えております。
笠井:今、順調に事業が進んでいると考えてらっしゃる。それだけニーズが、この世の中の仕組みからこぼれ落ちそうな人たちがいらっしゃるってことなのかな。
山口:何かしらにつまずきを感じている、生きづらさを感じている子は結構多いので。障がい者、健常者で分けるのではなくて、生活をしていく上で、誰しもが持っている好きが、その人たちの個性という風に見ているので。個性を生かせる場を、教育を通して本人に気づいてもらう、そしてその先を自分の力で築いていけるような教育を提供していきたいと思っています。
笠井:事業を行っていく上での課題はどんなものがあると感じてますか?
山口:極端な話を言ってしまうと、預かっているだけでも、ものすごい手間暇かけて向き合っても、入ってくる国からのお金っていうのは一緒なんですよ。ビジネスっていう観点だけで考えると、預かってるだけの方が利益率は高くなるんです。僕らは自分らの教育観や責任感があるので、手間暇かけちゃうんですよね。で、今月資金繰りやばいなって時はちょくちょくあるので、今後はオンラインでもう一個軸を作りたいなと考えております。限られた地域のお子様だけじゃなくて、日本全国、いずれは世界の子供たちに提供していきたいなと思っておりますので、やはり今後は国からのお金だけではなく、自分らで築き上げたもので会社を安定させたいなと思っております。