12月8日(月)配信 株式会社翠雲堂 代表取締役社長 山口豊
1949年生まれ、東京都出身。早稲田大学商学部卒業。大学卒業後、繊維の卸会社を経て株式会社翠雲堂に入社。2012年、株式会社翠雲堂5代目社長に就任。日本の伝統文化や職人の技を後世に正しく伝えるため、本物の荘厳仏具づくり、社寺建築にこだわることで唯一無二のスタイルを築く。
眞鍋:素敵なボルサリーノをかぶっていてらっしゃいますが、いつもオシャレには気を使っていらっしゃるのですか?
山口:自分の気を高めるためもありますし、オシャレに気を使わないとボケてきますので、気を遣っていますね。
眞鍋:ネクタイもピンクですごく可愛らしいです。山口さんは、去年6月に笠井さんがパーソナリティーを務めていたときに出演されています。2度目の出演ということですが、私にもいろいろ教えてください。お仕事の内容については、寺院の建築や仏像・仏具の制作と伺いました。
山口:そうですね。私どもは一言で言いますと、お寺のすべてを作る会社です。お寺の本堂や山門、鐘楼堂の建築ですね。宮大工が作ります。あと、御本尊や仏具の制作です。総合トータルでお寺の建築ができて、荘厳仏具まで一緒にできる会社というのは、唯一無二だと思います。
眞鍋:仏像や大仏まで作れるところはなかなかないですよね。
山口:そうです。例えば一般の建築家さんですと本堂の建築はできても、中の仏像や仏具は違う業者が入りますよね。ただ私どもであれば最初の打ち合わせの段階から細かな打ち合わせができます。
眞鍋:翠雲堂さんにお任せしたら、もう本当にゼロから寺院が完成するということですね。
山口:全体の見積りまで出します。
眞鍋:素晴らしいですね。写真をたくさん用意していただいたのですが、本当にきらびやかな内装のお堂だったり、12メートルの大きな仏像もあるのですね。大きな仏像の作り方は、そもそも私たちには全然想像がつかないのですが、どのように制作しているのですか?
山口:私どもの会社では原型を作って、拡大して、それを小さなピースに分けて鋳物にします。それらを、最終的には現場に持ち込んで組み立てをします。
眞鍋:そういうことなのですね。
山口:そうです。当然道路の事情で大きすぎるものは運べませんので、ピースにわけます。
眞鍋:謎が解けました。小さくピースにして、現場でプラモデルみたいな形で組み立てるのですね。
山口:そうですね。2畳から3畳の大きさのピースを組み立ていきます。

眞鍋:ピースに分けているとはいえ、大きいですね。クレーンなどを使って作業するのでしょうか?
山口:もちろんクレーンは使います。
眞鍋:昔からの伝統の技術と今の最新の技術みたいなものを組み合わせて制作されているのですね。
山口:昔の奈良の大仏といいますのは、現場で土を積み上げて、鋳物を中に注いで土を取り除いていたというやり方です。ただ我々の場合は、クレーンもありますし、溶接技術も進んでますから、工場で作業できるということです。
眞鍋:その一方、すごく細かい装飾などは、職人さんがいらっしゃるのでしょうか?
山口:おっしゃる通りです。私たちは日本全国で優秀な職人だけにお仕事をお願いしています。やはり各業界でナンバーワンの職人を集めないと、トータルでナンバーワンになるのは難しいのです。どこかの分野の職人の質が落ちるだけでも全体のレベルが下がりますから、各分野の優秀な職人だけを頼んで集めて仕事をするというのが基本です。
眞鍋:どの業種でも人材を確保するのは苦労すると思うのですが、優秀な職人を集めながら、最新の技術も取り入れているとなると、本当にやることが多いですよね。
山口:そうですね。仏具屋は古来からある日本の文化をほとんど吸収した業界だと思います。建築や漆塗り、金箔を押す、織り物、お線香制作など、そういった仕事です。
眞鍋:お線香もですか。本当に全てという感じですよね。どんどん時代が進んでいく中で、そういった文化を守ることの難しさみたいなことは感じていらっしゃいますか?
山口:やはりお客様からレベルの高い仕事の発注がないと、職人さんにいい仕事をお願いすることはできません。ご住職方にもお願いするのですが「値引きをするのではなく、いい仕事をさせてほしいと」いうのが我々の基本です。我々が制作したものを、日本の伝統技術として将来に残していきたいですね。

眞鍋:そうですよね。海外からも日本の文化に注目が集まっているように感じますが、いかがでしょうか?
山口:2020年に宮大工をはじめとする17分野の日本の伝統的な建築技術がユネスコの無形文化遺産に登録されました。その影響もあり追い風ではあるのですが、ただ若い職人が育っていないという面もあります。高齢化で我々も一番悩むところですね。
眞鍋:若い人にどうやって、日本の伝統文化に入ってきてもらうかが課題ですよね。すでに業務は多岐にわたってますが、これから広げていきたい分野などはありますか?
山口:これは昔から言われていることですが、ダーウィンの進化論で強いものが生き残るのではなく、やはり環境に適した動物、生き物が将来につながるということですから、どんな企業も世の中の流れが変わってきてますから、その変わる流れに順応していかないと、企業として存続していかないと思うのです。
眞鍋:なるほど。
山口:それが一番大事なことで、我々がいくら良いものを作っても、お客様に「気に入らない」と言われればそれまでです。やはり世の中の流れに合ったものを作っていきたいなと思います。
眞鍋:何千年も続く伝統文化を守りながら新しい環境に合わせていくことは、すごく難しいことだと思います。
山口:日本でもWeb3などが登場していますが、そういったものにも我々は順応していかなければならないと思っております。
眞鍋:そこまで見据えてらっしゃるのですね。翠雲堂さんに任せておけば、日本文化はこれから明るいのではないかという気持ちになりました。
山口:我々も良い仕事をしていきたいなと思っております。
眞鍋:私も普段からお寺に行きますし、この文化を守り抜いて欲しいなと思います。
山口:そうですね。仏教美術の素晴らしさというのはありますよね。できれば私も何百年後に自分たちが作った作品をもう一回見てみたいと思いますね。やはりいいものは残るのです。そして、残念ながら出来の悪いものは必ず朽ちてきます。そういった考え方で、良いものだけを今後も作っていこうと思っています。
眞鍋:素晴らしいですね。でも本当に会社自体ももうすぐ93年になります。あと少しで100年ですね。
山口:そうですね。私が5代目の社長ですが、今40代のスタッフが、会社を回しています。
眞鍋:もう本当に150年、200年と会社自体も続いていきそうですね。
山口:それを目標に頑張っています。
眞鍋:私もこれからまたお寺に伺ったときに、どこが翠雲堂さんの仕事かなって思いながら探してみたいと思います。楽しいお話をありがとうございました。
山口:こちらこそ、ありがとうございました。

